19.発注者の支援思想に転換期
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/11(水) 10:17:08  返信も含め全削除
 経済が右肩上がりの時代は、発注者の業界に対する支援思想は、発注行為自体が業界育成の役割を果たしており、建設業界は工事配分型の恩恵を受けて経営の拡大も順調であった。この時代は、発注者の業界に対する思想も受注の機会均等や公平性の理念が強く認識され、発注者は工事を公平に配分することに神経が使われていた。それは大手企業のみではなく中小建設業者にも受注の機会均等という思想で、地方自治体は工事を細分化し多くの中小企業に受注の機会を与えることが中小企業の育成であると信じていた。しかし、発注量が右肩下がりの時代になると従来型の支援思想が通用しなくなり、発注者の支援思想を変えざるを得なくなってきた。右肩上がりの時代は、受注の機会均等や実績主義による発注思想が、多少の問題があったにせよ発注者の支援思想として重要な役割を果してきたことも事実である。
 しかし、発注者の発注に対する認識が市場経済型の思想ではなかったのではなかろうか、これは発注者の責任ではなく受注者の勘違いの結果であるが、今日になってみると企業の育成ではなく、企業は工事の配分を受けただけで企業努力を忘れさせた結果になってしまっている。かえって怠け者の中小企業を育成したのかも知れない。企業側も自力で企業を拡大したのではなく、発注者によって企業大きくしてもらっただけである。これは社会主義国における計画経済の手法である工事配分を受けただけで、市場経済型で企業が自力を付けたわけではない。発注者は今からでも遅くない。市場経済の下での企業育成の思想に切り替える必要がある。
 近年の発注量削減時代に入ると必然的に仁義なき戦いが始まり、社会主義的思想の受注の機会均等思想や実績主義的思想が後退した。今日の激しい市場経済の入札環境は、必要以上に競争激化する現象が起きており、予定価額を大きく下回るダンピング等、仁義亡き戦いが始まる気配をみせている。更に、これからは受注額が大きく揺れ動くことが予想され、建設業界が新しい受注環境に馴染むまでに数年間かかるものと思われ、市場経済の下で当然自然淘汰の現象が激しく作用することは避けられそうもない。<発注者の新しい支援思想への内容は次回へ続く>(阿座上洋吉)

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