21.発注者の新しい支援思想に期待する
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/25(水) 22:28:08  返信も含め全削除
1.経営事項審査内容の動向
 公共工事に入札参加する場合に受ける経営事項審査の思想にも、時代の流れによって大きく変化してきた。昭和25年に建設業の登録制度ができてから、経営事項審査の基準も当初は完成工事高にウエイトにかけた判定であった。昭和37年では完成工事高のウエイトが59%もあったが、昭和63年には完成工事高のウエイトが40%に下がり、平成6年の改正では35%になり、次の改正では完成工事高のウエイトが更に下がる予定である。高度成長期時代の経営に対する評価は、売上高にウエイトをかけた判定であったが、低成長時代になり審査内容も変更せざるを得なくなった。これからの企業の力量は売上規模の判定基準から、倒産しないための利益確保ができる企業力の判定に変わってきたのである。これからの企業の判定は、規模の大小ではなく健全経営のための利益を確保できる企業が良い企業として判定される時代になった。

2.利益は生産性向上で確保する
 生産効率を高めて利益を確保する行為を原価管理という。生産性を上げる行為は結果的に工期を短縮であり、極論すれば工期短縮を阻害するものを排除することが究極の原価管理である。しかし、施工業者の生産性向上努力だけで工期短縮が可能な場合と、発注者サイドの考え方やその行為によって工期短縮が可能なものに要因は二分される。

(1)自社の管理下にある原価管理
 原価管理とは、建設業者が自社企業の施工過程で生産性を高める努力によって工期短縮を実現する行為をいう。このシリーズの連載内容は一貫してこの点を強調し、自社企業の努力による工期短縮の原価管理手法を説いてきた。原価管理とは生産性を高めて工期短縮を実現することであり、コストダウンはこの手法以外に方法はないと言っても過言ではない。

(2)広義の原価縮減の仕組み
 自社企業の生産性向上の努力にも限界がある。発注者の要因で施工の遅延や中断等が生ずる場合があり、発注者の協力なしには生産性向上が不可能な場合がある。発注者からの要請による設計変更や施工中断、施工遅延等の問題である。施工の中断や遅延の理由も多岐にわたっており、正当な理由もあれば理不尽な理由も多々あるのである。(阿座上洋吉)


返信 2 てっちゃん  投稿日 9/27(金) 12:33:03  削除
 佐藤士郎さんの言うとおりに、今、建設業で求められているのは、「利益管理」この一点です。現実的には、利益を生み出す本当の原価管理ができていません。当研究所の「研修講座」で解説されている通り、差引簿を作り、予算が余った/足りないと言うのは、原価管理ではありません。単なる採算計算ですからそこで終わってしまい、“力”として残らないのです。真の管理は、「管理サイクルを回す」ことで達成されます。真の管理をすると、“取り組んだ会社”に管理効果が現れ、管理力として残り、更に力が付いて行くのです。一度このサイクルを旨く回すと毎年向上するため、他社が追いつくことは難しくなると考えています。
 管理サイクルを(Plan-Do-Check-Action そして次の Plan へと)回し続けることが、管理の基本です。管理を評価する時に、「歩掛」をバロメータの一つに挙げることができます。つまり、毎年毎年、歩掛が好転しているなら「原価管理ができている」と言えます。これに対し、昨年のままの歩掛を使っているとか、市販の歩掛を使っている場合をどのように評価すべきかお分かり頂けると思います。
 歩掛は様々な管理の中で確定します。このため、管理の実現性を考えた場合、これらを部品化し、効率的に管理ができる仕組みを作ることが良いと思います。
返信 1 佐藤士朗  投稿日 9/26(木) 23:04:06  削除
今企業にとって必要なことは、損益管理ができる技術者を育てることだと思います。積算ができない、実行予算が組めないという状況で施工技術ばかりに着目し、技術では誰にも負けないと自負している人が多いのではないかと思います。今一度考えなければならないことは「何のために工事を施工しているのか」ということです。技術競争だけではないはずです。工事を行うことにより会社に利益をもたらすためということが重要ではないでしょうか。そのためには若い技術者に基本となる歩掛というものを教えていくべきだと感じています。現場技術者にとっての積算は標準歩掛を確認し、実行予算で自社の目標歩掛を設定する、日々の管理で実績歩掛を確認し、翌日の作業へつなげていく。これが原価管理の基本だと考えています。つまり、原価管理=工程管理=歩掛管理とも言えるのではないでしょうか。

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