29.市場経済に欠陥はないのか(その3)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 11/20(水) 17:55:52  返信も含め全削除
1.無限大の競争原理が作用している
 前述した市場経済の競争原理は、無限に作用するため節度が機能しない激しい経済制度である。人間以外の動物であれば、空腹時だけ最低限の弱肉強食の争いをする。満腹状態では決して過激な争いをしないし、一定の節度を持っている。人間は満腹状態でありながら、将来の備蓄や財産獲得のために無限の競争を繰り返しており、動物界の弱肉強食より質の悪い競争ばかりしている。その意味で市場経済は多くの欠陥を抱えているといわざるを得ない。

2.競争激化の現状と末期的症状
 全国の多くの県で、予定価額より30〜50%も下回る落札が出始めている。ダンピングの様相である。本格的な仁義なき戦いが始まったと見るべきである。いずれも水面下のルールである談合やリーダーの調整、ボスの交通整理、官による割付、政治家の交通整理等が崩壊してきためだが、その後の正常な市場経済への移行が遅れている。
 またある地方のH県では、予定価格と最低落札価額率を公表したため、すべての入札価額が最低価額率の65%で入札額が揃ってしまい、すべての入札を抽選にせざるを得ない状況になってしまった地域がある。それでは予定価額の事前公表をすべきではないという意見があるが、予定価額を事前公表しなければ発注担当者に予定価額の探り工作が激しくなり、誘惑等、各種の仕組まれた事件に巻き込まれる可能性があり、公示減少期には予定価額等を事前に公表したほうが無難であるという。予定価額と最低入札価額率を事前に公表した結果、必然的に同一価額の入札となり、抽選入札制度にならざるを得ない結果となる。

3.抽選入札は大きな欠陥を持っている
 抽選入札は偶然性が作用する制度で容認できるものではない。なぜなら当選者は経営が継続し、落選者は破綻する制度である。抽選入札は市場経済を無視した最も劣悪な制度であり、正常な経営ができない社会制度であり、談合や割付よりもっと質の悪い制度である。たまたま偶然に生じた同額の入札とは分けが違う。すべての工事を抽選入札にすることは、日本の市場経済制度を破壊する行動であり、このような抽選入札では強い企業が残らない制度である。一体どんな方向に進むのであろうか、日本の市場経済の正常化は前途多難である。

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