36.日本の金融環境の変化と経営
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 1/8(水) 12:08:17  返信も含め全削除

1.日本の金融制度の特色とその異変
 日本の金融制度の特色は、一般大衆から直接資金提供を受けるのではなく、大衆の資金が銀行を通して間接的に企業へ流れる間接金融の特色を持っている。そのため日本の経営者は、一般大衆の存在意識が薄く、銀行に対する意識が異常に高い特色がある。そのため銀行だけに信用されていれば良いという意識が強過ぎ、銀行も企業に対して大きな影響力を持っている。しかし、銀行自身が以前のような経営体質と違い、また銀行の経営思想にも大きな異変が起き、企業に対する融資思想に大きな変化が起きてきた。いま日本の金融制度の根源が大きく変わり動揺が始まった。

2.高度成長期に借金経営が常態化した
 日本企業の総資本に対する自己資本と他人資本の割合は、欧米先進地と比較すると他人資本率が異常に高い特色を持っている。以前は日本企業も欧米並みの状態であったが、高度成長期に入り他人資本率が一挙に拡大し、間接金融の時代に突入した。当時の経営評論家や経営コンサルタントが口を揃えて唱えていたことが、借金経営のすすめであった。自己資本に限界があり経営拡大のためには他人資本に頼ることは当然であるが、しかし当時の提唱者は借金経営のほうが経営に緊張感が生まれ、その緊張感が経営の原動力であると主張したのである。この時代は拡大ムードもあり高度成長期の勢いの後押しにもなり、日本企業は借金経営が常態化していったのである。

3.日本企業の経営1/3論の特色
 日本企業が借金主力の経営になると、銀行が経営決断の1/3の実権を持つようになり、事業拡大や新規設備投資等の大型投資には、融資銀行が実質的にその決定権を持つにいたり、銀行の判断を仰がなければ企業は何もすることができない。そのため経営者は銀行の顔色ばかに気を取られる結果となる。これでは銀行が経営しているのであり経営者の決断に制約がかかっていた。次の1/3は優秀な従業員の稟議書による提案制度があり、従業員から経営判断の材料が提供されるシステムがある。経営者はその中から適切な選択と決断をすればよく、経営者にとってこれほど有りがたい制度はない。最終的に経営者が経営決断する範囲は残りの1/3の部分である。良い悪いは別にして日本企業の経営決断の特色がここにあるのである。しかし、この経営1/3論に大きな変革が起きてきた。

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