48.日本の消費者行動の大転換期
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/2(水) 11:03:55  返信も含め全削除

1.中流意識の日本の消費者の特色
 高度成長時代の日本の消費者には大きな特色がある。日本の大衆に中流意識という言葉が良く使われるが、諸外国のような中産階級という言葉は使われない。中産階級とは所有する財産が中ぐらいと言う意味であって、諸外国において中産階級とは金持ちのことである。したがって中産階級とはその国の一般大衆のレベルを現した用語ではない。然るに我が国の中流意識とは一般大衆に対して用いる言葉であり、意識の問題であって財産の所有額には関係が無い言葉である。収入額が中流であるということかもしれないが意識の問題である。日本の国民の80%が中流意識であることは特筆すべきことであり、日本経済の高度成長が如何に良好であったことを表している。

2.物社会時代に起きた高級化への大転換
 物量としての拡大期が一段落すると、次は品質のワンランクアップの欲求が高まり、一般大衆の消費行動に高級志向が高まり、当時の大衆の高級志向による消費意欲は凄まじいものであった。海外旅行も盛んになり海外ではメガネを掛けて高級カメラを提げていれば日本人であるとまで言われたほどである。高級な装飾品や金張りのガスライター等、高級品を買い求めたのが当時の中流意識をもつ一般大衆の消費者行動であり、高級品の購買意欲の高まりによって高度成長を継続させていた。

3.高級品が差別化にならない消費者行動
 高級化志向の現象が起きる中で消費者行動に更に大きな変化が現われた。大衆消費者の誰もが高級品を購入する力があり、高級品を買い求めてみたが、消費者の満足は必ずしも高級品を所有することではないことを悟り、自分にとっての満足を得ることは使いやすさであることに気づき、この段階で大衆は物に対する志向が更に大きな転換をしたのである。重たい金張りのガスライターより100円ライターの方が軽くて使いやすいし、100円ライターを使っていても誰も貧乏人とは思わない。以前は人前で飲めなかった焼酎を、堂々と大衆の前で飲むようになったのもこの時期の現象であった。これは物の充足後に起きた大衆消費者の変化で注目すべき現象である。その後、更に日本の大衆行動は大きく変化していくのである。

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