新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 5/14(水) 11:34:02
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1.建設業における一括下請の禁止について
前項で述べたように大手ゼネコンが一括下請け行為をすれば、建設業法第22条の一括下請の禁止条項に違反するのである。ここでは法律論争や建てまえ論等の形式的議論をすることが目的ではない。事実の実態を解明することとその現象を論理的に整理をすることが目的である。例え大手ゼネコンに一括下請の行為があったとしても、一括受注をした下請業者がゼネコンの機能を果たしているのであって、法律上は抵触するが社会問題とはなっていない。建設業法の理念は、発注者から受注した請負代金から施工をせずに請負代金の上前をハネル行為は、発注者に資金的な損害を与えているとして、発注者保護の理念に反するとして禁止しているのである。ここで法律上問題になることは施工行為(工事管理行為)をしていないことである。
2.大手ゼネコンの機能と一括下請の禁止
元請としての大手ゼネコンは、工事に関する一切の責任をとる行為を武器として、発注者保護という精神は法律とは形を変えて十分に機能している。大手ゼネコンは新技術の開発能力や新しい施工技術の開発、品質レベルの実験施設を持つなど、中小建設業者にできない能力を備えている。更に総合企画力による新しい開発行為の立案等の能力等は、大きく社会的貢献も果たしている。この点で大手ゼネコンが発注者から信頼を受ける根源となっている。しかし、新技術の研究や新施工法の開発はともかく、総合企画行為や資金量等で大きな信用力によることは、発注者に安心感を売りものにする行為であって、建設業法の施工行為(工事管理行為)には当たらない。建設業法の理念は施工を念頭において規定しているからである。何故これほどまでに発注者が安心感を求めるのであろうか。それは売買対象である建造物が出来上がる以前の状態で売買契約を結ばなければならないからである。発注者の心境を考えると安心感が如何に重要であるかが分るのである。したがって発注者に広い意味で安心感を売りものにする大手ゼネコンを意識して、一括下請行為をすることが一般的に今後も存続するのであれば、建設業法の一括下請の禁止を改正すべきである。
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