67.形式的JVの実態と反省期
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 8/13(水) 13:22:56  返信も含め全削除

1.建前主義の形式的なJVの実態
 数社の構成員の共同によって施工される甲型JVをよく見かけるが、もともとJVは地中海貿易が盛んな時代に生まれたものである。当時の航海による交易は多額の利益を上げることができたが、小型の木造船であったため常に危険が伴い大きなリスクを覚悟しなければならなかった。このリスクを解消するために考案されたものがJVである。数人の船主が共同で航海交易をすれば危険分散ができると考えた産物である。これを今日建設業界で用いるようになったが、しかし近年の日本で行われているJVは当時の時代背景や思想と大きく相違してしまった。大型のダム工事のようなものであれば大手ゼネコンでも危険分散のためJVが考えられるが、現在発注されている一般的なJVは単純に工事配分の道具になってしまった。本来一社で施工すべき工事であるから特定JVは勿論のこと経常JVで発注するため、実態がペーパー化してしまうのは当然である。表面上はJVとして見せかけているに過ぎなく、ペーパーJVが横行しているのである。業界は契約違反に問われないように嘘をつくのに四苦八苦している。発注者もペーパーJVであることを承知しているとすれば契約違反を奨励していることになる。形式的な部分であっても許される範囲の限度を超えていることを注意しなければならない。

2.いつまでも建前主義を続けると企業は破綻する
 近年は企業経営を実態で本物化することが重要になってきた。他の業界も本物志向で、米や肉の生産者の形式表示が偽者では通用しなくなってきた。何故いつまでも実態がペーパーJVであるのに、形式的な建前上はJV施工のふりをしている。現在の偽者の形式的JVの方式が正しい方法であるとさえ誤解している業者がいる。では本物で共同施工できるかといえば、一企業の本物の施工管理のみによって利益確保が可能であるのに、数社の集団施工では利益をあげることはできない。数社の施工管理では本物の工事管理機能を発揮できないからである。数社で施工する振りをしている行為こそ建前主義を続けては企業が破綻する。この実態を発注者、施工業者が真剣に中止するための議論を始めなければならない時代にきている。

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