70.分離発注の要請と諸問題
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/3(水) 21:44:34  返信も含め全削除

1.発注者による分離発注の思想
 本来は一体化している一つの工事を発注する場合は、原則として専門工事を分離して発注すべきではない。しかし専門工事の内容や特殊な施工部分が明確に分割できる場合には、本体工事から一部の専門工事を分離して発注する場合がある。この分離発注は分離することに正当な理由がある場合はよいが、その理由の大部分は発注者の工事配分の思想で多くの業者に配分する手段として用いられる。公共工事の場合には、発注者ができるだけ多くの建設業者に工事の適正配が重要であると考えるからである。しかし工事配分の思想は社会主義の計画経済の思想であって、市場経済の思想ではないことを留意すべきである。一見、平等思想によることが良いように見えるが、平等思想を重視すれば市場経済の競争原理が作用せず、市場経済に強い建設業者が育たないことを意味している。日本の建設業者がいつまでたっても発注者におんぶにだっこの経営をしているため、市場経済に強い自力をつけた業者に成長せず、常に建設業界は倒産が多い業界となってしった。これからは他力に頼り過ぎてはいけない。経営の自立ができる業界にならなければならないのである。

2.専門業者からの分離発注の要請
 専門業者からの強い分離発注の要望が行われている。専門業者は、ゼネコンに取り仕切きられることが不満であり、専門工事の元請になりたいと主張する行為が分離発注である。専門業者の立場に立って考えると、ゼネコンに威張られ、ゼネコンの言いなりにコントロールされることを嫌うことは理解できるが、しかしこれは総合工事管理のプロであるゼネコンを否定することであり、建設業界全体の仕組の崩壊につながる問題である。ゼネコンに総合工事管理能力がないという批判もあるが、それはそれとしてゼネコン業界の問題であり別問題である。総合工事管理で施工すべきものを、専門工事部分を分離することは最終的に工事全体の総合工事管理が希薄になることを意味しており、公共工事であれば品質面やコスト面で最終的に国民に損害を与える結果となる。専門工事業も自分たちのエゴをあまりにもごり押ししてはいけない。

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