新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 11/12(水) 07:48:10
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1.JVは完成保証人の機能を果たすか
発注者の立場による共同企業体のメリットは、建設業者に発注する工事の配分が容易である他に、完成保証人としての効果があり、発注者としてはそれなりのメリットがあった。共同企業体の構成員は原則として当該工事を共同で完成させ、発注者に引き渡す義務を負わされるから、従来の完成保証人制度と同様な状況になり、発注した工事の完成に関する保証人を立てたと同様の効果がある。そのため発注者としては工事の完成について安心して共同企業体に工事を任せることができるメリットがある。この点について近年は、保証事業会社による金銭的な完成保証の制度が確立され、工事の完成保証ではないが金銭的な補完制度が確立されている。このような完成保証人的な制度は、発注者にとっては投資が有効に機能するためにそれなりのメリットがあったのである。しかし大きな問題点も指摘されていた。本来競争相手である建設業者同士が相互に保証人となるような行為は、建設業界全体を談合体質になるように誘導する結果となっていた。JV工事についてもっ市場論理からみて負の方向を誘発する部分を抱えている。
2.保証事業会社の立場でも問題化
発注者が工事の施工前に支払う前渡金に対する保証事業会社の保証制度について、共同企業体は相互保険制度としての役割を果たしていたため、保証事業会社の立場でも前渡金に対する保証事故が発生した場合、構成員によって相互補完されるため当該工事の保証事故が軽減され、保証事業会社としては共同企業体の工事が有利に作用していた。しかし、近年の工事総量の減少により、急激に進んできた建設業界の経営悪化を勘案すると、以前のような安易な安全神話はむしろ逆に作用する可能性の方が高くなってきた。これからは共同企業体の構成員の倒産により、連鎖倒産の様相が高くなってきた。このような倒産の影響が保証事業会社にも強く現われる時代であり、従来の入札環境とは大きな違いが起きる社会情勢となったのである。共同企業体では共有財産と共有債務が同時に発生することをあらためて注意すべきである。
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