85.大手ゼネコンと協力会の危機
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 12/17(水) 08:23:35  返信も含め全削除

1.大手ゼネコン商社化の強みと弱み
大手ゼネコンは、高度成長期から近年まで大型プロジェクトや各種の総合企画、街づく等の企画に参加し大きな成果を上げてきた。また建設物についても最良の品質や品位、品格についてもユーザーや地域住民からも高い評価を受けて今日に至っている。また財産的基礎の信頼度も高く、安心して契約時や中間で支払われる前渡金等について信頼されている。このような点は大手ゼネコンが持つ信頼の基盤であり重要なポイントであった。しかしこれらの内容は大手ゼネコンが担当するより商社が担当するものであった。大手ゼネコンが担当することも戦略上必要だが、大手ゼネコンも建設業であるから施工業者として施工技術を磨かなければならなかったはずである。近年の大手ゼネコンが急速に力を失ってきている主な原因は、施工技術の空洞化が進んできたことであって、建設業として本来の施工能力を磨くことを忘れていたからである。大手ゼネコンは建設に関連する商社行為に専念し過ぎてしまい、総合施工業の機能を放棄してしまっていたのである。

2.大手ゼネコンと協力会崩壊の危機
 本来のゼネコンは、施工としての工事管理が仕事であり、下請の専門工事業の施工管理能力についてのデータベースの作成や、孫請の専門作業業者の作業技能程度をデータベース化し、施工管理の高度化を進化させていなければならなかった。然るに大手ゼネコンは、専門工事業の手配すら下請の総合工事業に一括下請し、商社的行為しか感心がなかった。右肩上がりの工事量拡大時代には商社的行為でも十分に利益を確保することができたが、近年のように右肩下がりの工事量減少期に入いると、下請の総合工事業が元請として建設市場に参入しており、これでは従来の仲間としての協力会の関係どころか、むしろ競争相手としての関係になり競走が益々激化する状態になってきた。いよいよ協力会のメンバーとも仁義なき戦いが始まろうとしている。また協力会の専門業者の中にも一社の下請専属になることに身の危険を感じ、多くの元請を捜し始めている。今や協力会崩壊の危機が迫ってきている。

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