新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 6/16(水) 01:39:16
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1.歩掛の思想に潜む落とし穴
建設業者の事前原価計算には、見積原価計算(見積書)や予定原価計算(実行予算)があるが、見積書や実行予算の作成に当たって歩掛計算が用いられるのが一般的である。歩掛計算の手法には多少の違いがあるが基本的思想は同じである。一定の工事に要する仕事の量を作業員一人当たりの労働量を基礎として計算する手法である。これに一人当りの作業員単価を乗ずると対象となる工事の予定原価が算出される。ここまでの計算方法や計算思想については問題がないが、この計算によって算出された予定原価の扱い方に問題がある。その問題点は歩掛計算自体に潜んでいる。第一の問題点は、歩掛に対する評定である。過去の自社企業の実績からくる歩掛には、ミスロスが含んだデータであること。特に軽微なミスロスで連続的に発生するものが、通常の施工行為の範囲として捕らえられることが多く、それ自体がミスロスとしての認識がされることがない。本来、軽微なミスロスであっても施工の余裕分と考えるべきではなく、悪い表現をすれば緊張感の反対行為であり単純に怠けている行為をいうのである。これでは現場で事故が起きるのは当たり前であり、事故を防ぐためにも施工は緊張感をベースにして施工管理システムが機能しなければならない。厳しい時間管理の思想の反対行為を認容すべきではない。
2.歩掛計算後に潜む第二の落とし穴
歩掛計算に社内基準歩掛単価を乗ずると予算原価であるが、現場では何が起こるかわからないという大義名分が主張され、施工の実態は必ずしも予算どおりに進まないので予算の流用は当然であるとの主張が始まる。費用は掛かるものは掛かるんだと主張する。これでは原価管理しての思想や行為は微塵も感じられず、出来るだけ予算項目に合わせて多少の予算流用をしながら予算消化をしているに過ぎないのである。これでは原価管理の思想もなければ原価管理の行為は全くないのである。本来の原価管理とは、常にコストダウンの思想が強烈に作用する行為をいうのであって、官庁の予算消化の真似をしてはいけない。いよいよ原価管理の思想から勉強し直す時期が来たのである。
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