138.作業標準化の難問と解決のヒント<その15>
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 1/5(水) 18:34:05  返信も含め全削除

1.コストダウンと作業の標準化
 コストダウンを科学的に立証するためには、作業の標準化が欠かせない絶対条件である。何故ならコストの比較検討が重要だからである。作業が標準化されていない場合は比較検討する方法がない。然るに建設業界の関係者は、建設業はニ度と同じ工事をすることがないという主張や、生産現場が野外であり現場では何が起こるか分らないと主張する。そのため標準化が難しいという大義名分の理由である。これを「野外異質生産論」と命名する。その一方で、これからは精度の高い実行予算を作成して、高度な原価管理をしなければならないという主張もある。実行予算は標準化していることを前提として作成するものであるから、これでは二律背反した論理である。実行予算の精度を高めようとすればするほど、作業の標準化の精度を高めなければならないはずである。前者の野外異質生産論を主張するひとは、コストダウンは科学的にできないと思っており、実行予算の精度を高めようと努力しているひとは作業の標準化や歩掛単価を重視しようとしている。

2.作業標準化の難問を乗り越えて
 野外異質生産論で主張されるとおり作業標準化の難点は自然界にある。野外条件(自然界の条件)を一定にすることは難しい。特に寒暖の差が激しい地域では施工手法まで影響するからである。自然界の変化の条件は避ける方法がないのであるが、標準化するには最良時の条件を基準にすべきである。これに自然界の条件変化によって余分に発生した原価を、原価差異として別途把握する必要がある。例えば、季節によって特に余分に発生した仮設材の補強費とか、工期についても最良期と比較して延期されたために余分に発生した加工費を季節特別費として別途集計すれば、最良期が標準となって季節的な自然条件の変化による差異分析が可能となる。実行予算を作成するとしても、最良期を標準として季節性の分析が高度化するのである。これらのデータはすべて実績によるデータを基礎として分析し、誘導されるものであって一夜にして単純に作成できるものではない。工事の実績記録が将来に向けて高度に利用できる基礎データとなることを留意すべきである。

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