197.予算管理と管理者の意思決定の関係
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 3/8(水) 20:51:49  返信も含め全削除

1.予算管理が機能する本社の管理費
 本社の管理部門で発生する販売費及び一般管理費は、予算管理(実行予算制度)が馴染む費用である。何故ならトップや管理者の意思決定で機能する。強制力の強い予算枠を決めれば実行することが可能である。例えば交際費のような費用は、企業の方針やトップの意思決定自体が、その費用の予算枠を決め予算消化額まで確定することができる。そのため目標となる予算額を設定さえすれば、その目標となる予算額で収まるように誘導することが容易なる。したがって目標となる予算額を設定時に十分に検討すれば、達成可能な期待値どおりに実行することができるのである。

2.現場は予算管理が馴染まない
 本社の予算管理が容易に機能するのに対し、現場の予算管理が機能しないのは何故であろうか。それは現場のコストは、管理者の意思決定に係わらず、別の理由で発生するからである。つまり、管理者の意思決定に左右されない費用が多く発生することを注意すべきである。実行予算が機能しない理由はここにある。

3.管理者の意思決定に関係なく発生するコスト
 現場のコストは、管理者の意思決定に関係なく発生するものが多く、その典型的な原因は時間の経過である。例えば設計変更や天候、埋設物の調整等の理由で工事中断事件が頻繁に発生する。この工事中断中にも作業員の賃金や各種レンタル料は時間の経過とともに発生するため、実際発生額を忠実に予測しても時間の経過で発生するコストを、予算で管理することは不可能であり意味がない。本社の販売費及び一般管理費のような管理者の意思決定でコントロールできるものと違い、管理者の意思決定に関係なくコストが発生する。また通常の作業であっても、100人工の作業量は、作業員が1人の場合は100日を要し、10人の場合は10日となり、その工期は単純に1対10となり、仮設材のレンタル料も1対10となる。このように現場の原価の発生は、工法や施工効率による時間に左右されるものが多く、予算による金額管理が有効に作用しない理由はここにあり、科学的な時間管理のノウハウを持たなければならない。

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