新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 3/15(水) 17:17:36
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1.実行予算制度、第一の弱点
目標となる原価には、理想的な目標となる原価の概念と現実的に達成可能な目標となる原価の概念がある。前者の原価概念を基準標準原価といい、後者の原価概念を当座標準原価という。実行予算に用いられる原価の概念は、当座標準原価に近い概念を想定したものであるが、思想的には必ずしも同一の概念ではない。何故なら当座標準原価は科学的根拠をもった原価の概念であるのに対し、実行予算は実際に発生する原価を想定して予測した原価である。過去の実績から算出される全国平均の基準単価や社内の歩掛単価は、過去の実績の中に混在しているミスロスの原価も含んでおり、このミスロスによる原価を含む平均単価である。この平均単価によって算出される実行予算は、ミスロスを排除するための科学的管理手法には適切に作用しない原価である。本来の原価管理は、ミスロスを排除する管理が第一義的な目標であり、ミスロスが混在している過去の平均原価を目標原価として設定すること自体が非科学的であることを注意しなければならない。
2.実行予算制度、第二の弱点
建設現場は、常に生産行為が不安定な状況に置かれるため原価管理に問題が生ずる。天候による施工中断や設計変更、予定外の埋設物出現による関係者の調整等で工事中断が頻発する。これが建設現場の悩みの種である。何故なら工事の中断時にも未使用の機材等のレンタル料が発生するからであり、この未使用時のレンタル料は、現場管理者による努力だけでは、コストコントロールすることができない原価である。この未使用による原価の発生についても、過去の実績原価には混入している。そのため過去の実績原価を基準にして算出された社内の実績歩掛単価は、非科学的な単価しか算出することができないのである。このような単価で実行予算を設定しても、真のモノサシにはなり得ない原価を設定してしまう結果となり、実行予算制度の大きな欠点となっている。では科学的根拠となる原価の概念はどのような点を注意すべきであろうか。原価管理の目標となる原価の争点はどこにあるのであろうかを探ることが重用である
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