221.健全な新しい元下関係が構築できるか
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/8/23(水) 10:02:46  返信も含め全削除

1.協力会という団体が揺らぎだした
 ゼネコンと専門工事業の元下関係の一般的形態は、ゼネコンと下請の専門工事業との間で構築された信頼関係が必要であり、安心して発注できる仲間としての下請企業が要求される。そのためこれらの仲間によって協力会が構築された。その仲間としての基本的条件は、第一に生産物が予定通りの品質であること。第二に人身事故等に関する安全対策が適切であること。第三に納期が守られること等が上げられる。これらは施工仲間として当然であり大義名分となっている。これらの条件は当然であり異論の余地はないが、近年、何故か協力会の解散が全国で起き始めており、その原因を分析する必要がある。協力会の解散のきっかけとなった大きな原因は、工事量減少期に入ってから起きていることから、工事量の減少に深い関係にあることは間違いない。工事量拡大期には一定の施工能力確保するための手段として、ゼネコンごとに協力会を構築する必要性があった。また、日本人の集団主義の価値観とも相まって、同じ釜の飯を食った仲間としての意義もあったのである。

2.元下関係にも市場原理の波が
 近年、協力会が何故十分に機能しなくなったのであろうか。もともと協力会には十分な機能はなかったのであろう。ゼネコンが主宰する親睦会的要素が強く、施工上の必要条件として構築されたものではない。せいぜい元請業者が安全大会を開く手段としても利用されていた。協力会というネーミングは良いのであるが、名前が示すような機能はないのである。そのため工事量の減少と共に仲間の面倒すらできない時代になれば、解散する必然性がある。何よりも現代の市場経済の仕組みにそぐわない面があり、元下の取引関係に競争原理が作用せず、人脈の強弱が左右する随意契約になる点である。これは随契が悪いと批判しているのではない。市場経済の競争原理が作用しないため、制度疲労を起こしやすいもので、市場経済の仕組みに合わないものであり、古い昔の元下関係自体が現代ビジネス界にとって無用のものとなってきた。工事量の減少期がきっかけとなり、必然的に元下関係にも市場原理が入り始めた証拠である。

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