新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 06/12/20(水) 19:15:30
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1.市場経済は商品生産を想定した仕組み
市場経済は、市場において原則として何の制限も加えないと言う自由競争の意味で、自由主義経済ともいう。この市場経済の仕組みは、生産物が事前に生産された製品を売買されることを前提と仕組みである。製品が事前に生産される商品生産の場合は、市場においていくら競争原理が作用しても、商品の品質に影響を与えないのであるから、客は商品の品質を確認して、納得済みのものを購入すればよいのであるから、特殊な場合を除けば品質に関しては客に損害が及ぶことはない。市場経済の仕組みは当事者が公平で公正な立場で交換することを基本とするのであるから、受注生産と違って商品生産の場合は、公平で公正な環境を容易に構築することができるのである。このように市場経済は商品生産を前提にして、物々交換経済の時代から必然的に発展してきたことが理解できるのである。したがって今日のような大掛かりな受注生産がない時代であり、生産される前に売買行為が先行する仕組みでの中で、無限大の競争原理が作用し、安ければ安いほど良いという一般競争入札の仕組みは、公平公正の視点でも想定外であった。
2.大型化する受注生産と入札制度の馴染み
経済発展の歴史の中で、初期の市場経済の時代は、自然界が提供してくれた果実等を採取し、自家消費の余剰部分を交換した時代であり、交換する当事者は交換物の品質を確認し、納得済みで公平が保たれる。その後に工業製品が生産される時代になっても、生産された物品について、客が品質については納得済みであれば問題は生じない。また初期の受注生産においても、刀や鎌、鍬等のような軽微な受注生産の場合は、品質については市場に流れるうわさ程度で、品質評価は十分に機能しており公平が保たれる。ところが今日のような超大型のものや、過去に経験したことがない特殊な生産物を、生産する前に過激な売買競争が先行する仕組みは、交換経済における公平公正の限界を越えているかもしれない。この点で製品が生産される前に、無限大の競争が作用する一般競争入札制度自体が、市場経済の公平公正に馴染まないのではないかという主張がある。
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