242.格差社会の現象と経済成長の関係
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/1/17(水) 20:24:22  返信も含め全削除

1.平均的所得増大の経済成長
 資源がない日本としては、資源を外国に頼らざるを得なかったため、海外から原材料を安く輸入し、これに付加価値を付け、その製品を輸出することによって、経済的豊かさを手にすることができた。高度成長期の初期段階の輸出品目は、今日とは違い圧倒的に衣類や日曜雑貨程度の加工品であったから、多くの国民が生産に従事することができ、国民の多くが経済成長に貢献した。当時の日本人の賃金は、欧米先進国に比べ非常に安く、衣類や日用雑貨の生産でもコストが安く、十分に競争力があった時代であり、今日の中国経済の状況に非常に類似した時代であった。この時代の世界市場は、各国の経済単位としての国別エリアが確立していた時代であり、今日のようなエリアレスの時代ではなかった。そのため日本的経営文化を生かすことができ、平均的に所得を上げることができた。格差社会を避けながら成長し、国民の80%が中流意識を持てることができた時代であり、所得格差を感じさせない経済環境を創ることができたのは幸運であった。

2.格差社会の中の経済成長
 高度経済成長期の初期段階で比較すれば、中国やその他の発展途上国も日本と同じように、経済成長を遂げている国があるが、当時の日本と比較すれば大きな違いがある。日本の経済成長は格差社会を回避しながら成長したのに対し、中国等は当初から格差社会の状態で成長している。その原因は、地球規模で市場が融合化しており、今や生産国がどこであるか問われない時代で、地球規模で融合化した世界市場では、「良いものが安く」という市場のルールである。そのため市場の争いは地球規模となり、過去の争いと質が違い厳しい競争原理が地球規模で作用する時代となった。もはや国民全体の格差が生じないようにする所得の平均化は難しいし、賃金を少しでもアップすれば、即コストアップに繋がり、産業界は競争力を失ってしまう。そのため素早く生産拠点を海外に移転させることになる。いわゆる空洞化が超スピードで起きるのである。その結果、企業は利益を上げる方法として動くが、国民は働き場所が無くなってしまうのである。

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