300.原価計算や実行予算の多様化する視点
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/4/9(水) 12:54:26  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 技術者研修会のアンケートに「失礼な言い方かもしれないが、先生の言っている実行予算と、私たち現場技術者が作っている実行予算とは何か違う気がします。現場に帯同して作るところから見られたことがあるのでしょうか。」という意見があった。この意見は、私ども現場の経験がない教育担当者に対して、多少の抗議を含めた批判的な意見である。この意見は、原価計算について重要な側面があり、見方によっては私ども原価計算の教員にとって注意すべきことである。

1.原価計算の多様な視点
 原価計算は、実行予算も含め立場や視点によって、原価が大きく変動する性質を持っている。つまり、原価には多様性があり、各種の選択によって原価が変動し、思想が違っていても原価が変わるのである。そのため、上記意見のように原価に関する担当者が変われば原価は変わるのである。したがって、私が考える原価の仕組みと、上記意見の技術者が言う原価計算や実行予算は違うのである。原価計算とは恐ろしいほど多様な側面持っていることを留意すべきである。

2.簡単な事例の紹介
 原価は工法や計算法によって変わる事例として、根堀工事の例である。作業員1日当りの賃金が\10,000として、30日の工期とすれば労務費は\300,000となる。この作業を2人の作業員で施工すれば工期が15日となり、2人施工でも労務費は\300,000と同じなる。更に、3人で10日の工期であっても、労務費は\300,000と同じである。しかしこれに仮設材等のレンタル料1日\5,000が掛かるとすれば、1人施工で仮設費は、\5,000×30日=\150,000となる。2人施工で仮設費は、\5,000×15日=\75,000となる。3人施工であれば、\5,000×10日=\50,000であり、これを原価合計すれば、1人施工\450,000、2人施工\375,000、3人施工\350,000と変化する。これに作業現場が2人しか作業できない環境とすれば、3人投入しても工期は15日で人件費は\450,000となり、仮設費も\75,000となり、原価合計は\525,000となってしまう。原価計算は恐ろしいほど各種の影響を受けるから、実行予算管理ではなく、工程計画の段階が原価に大きな影響を与えるのである。これがネットワーク工程表が必要になる理由である。

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