新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 08/5/7(水) 20:59:48
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<アンケートの意見に>
技術者研修会のアンケートに「実行予算に時間をかけることに意味がないことについて、当社の上司にどのように説明したらよいのか、最近悩んでいたが、今日の講習会の事を自分なりに考えて上司に説明したいと思う。」という意見があった。この意見は、建設業界の経営者や管理者によく見られる意見であり、現場の技術者にもこのような考え方の人が多い。
1.実行予算も否定はしない
実行予算を頭から否定する気はない。何故なら、現場の利益を推測したいのは、経営者や管理者として当然である。しかし過去に体験した現場から原価を推計し、新しい現場で予定利益を確保したいと思うことは、人情的には理解できることであるが、実際原価の発生はこのような情緒的なものではない。過去に体験した工事原価は、工事終了後に算出された結果としての原価である。このような原価は、工事が終わってからでなければ算出することはできない原価である。原価の実際発生額は、予算で決まるものではなく、原価の発生要因は、施工資源の選択や施工時間等で決まるものである。
2.原価の発生メカニズム
原価の発生メカニズムは、施工資源の選択によっても原価は変動する。つまり、@人的資源で施工するのか、A機械資源で施工するのか、B外部資源(専門工事業者)で施工するのか、施工資源の選択によって原価は大きく変動する。更に、@人的資源の選択した場合であっても、1人施工が5人施工か等の資源数の選択によっても変化する。それは資源数が変化すれば、工期は変化し仮設材等のレンタル料が変動するからで、資源数の変動は原価に影響を与えるのである。A機械資源を使う場合であっても、自社所有の機械を使うのか、レンタル資源を利用するかによっても原価は変動する。更に、機械の能力とレンタル料の影響も受けるし、機械の能力の差は工期に影響するため、工期が変動すれば仮設材のレンタル料が変動する。このように各種の資源の選択や工法の選択は、施工時間に影響を与える結果として、原価に大きな変動をもたらすのである。したがって原価管理とは、原価の発生要因である施工資源の選択や、工程管理による並行作業による工期の検討が、原価管理になるのであって、予算管理で原価をコントロールすることができないことを認識すべきである。
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