新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 09/3/4(水) 20:27:02
返信も含め全削除
1.一匹狼という意味
ここで一匹狼という概念は、必ずしも悪い意味で用いているわけではない。むしろ良い意味の部分も多く現場代理人の職業の特性に深く関係している。責任感が不足しているといわれる時代に、責任感が強く求められる現場代理人制度は、むしろ成功している制度と言わざるを得ない。この現場代理人制度自体が一匹狼を造成する結果となっている。前述したが人間は、大きな権限を与えられ大きな責任を負わされると一匹狼化するものである。自分で大きな責任を負い他の誰もが助けてくれない状況下では、一匹狼になるのは当り前である。
2.発注者も一匹狼化に加担する
注文生産の製品等に関する信用される根拠は、会社の信用だけではなく、施工を担当する現場技術者の腕に対する信用によるところが多い。この腕のランクは過去の個人の施工実績による評価であり、これが信頼度のベースとなっている。会社としての信頼度は、技術者の信頼度の高い人材を多く抱えているかどうかで決まるものであるから、会社の信頼度は相対的な評価であり、技術者の腕のような絶対的な評価ではない。そのため発注者の評価は、施工を担当した技術者個人の腕を評価しており、会社の技術力の評価ではない。このことから発注者の実績評価は、個人評価となるため現場技術者は益々一匹狼型に仕向けられる結果となるのである。CPDSの制度にしても個人の教育実績を重視する制度であり、この制度も一匹狼型技術者を醸成させる結果となっている。
3.企業力の技術評価を高めるには
一匹狼型の仕組みは江戸時代から続いてきた職人制度であり、孤立した職人気質は他人に技術を教える制度ではなく、孤立した技術津職人として今日まで伝承されてきた。この頑固な一匹狼の仕組みの中で、技術は盗んで覚えるしか方法がなかったのである。この泥棒システムが現場代理人の血の中に流れており、一匹狼化の仕組みは消えそうにないのである。そのためISOのような企業としての共通の技術のシステムは、思想的に一匹狼型の技術者に浸透しないのである。しかしこのような一匹狼型のシステムが限界が来ていることは間違いない。この難関をどのようにして乗り越えるかが建設業界の課題である。
|