新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 09/3/25(水) 19:23:41
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1.建設業界でISOが十分に機能しない理由
製造業の場合には、ISOによる品質管理が高度に機能するのに、建設業界では機能しないのは何故か。製造業の場合は工場で生産設備が設置され、一定の生産工程が存在するため、その生産ラインで具体的に品質管理のシステムが機能する環境にあり、しかも生産活動が繰り返し行われるため、効率的で標準的な品質管理が有効に作用し、ISOが高度に機能する結果となるのである。これに対して建設業の場合は、現場作業が専門別に特化しており、それぞれ専門の施工業者に外注されるため、元請としては直接専門工事の生産に携わることがない。自社雇用の作業員によって施工される場合もあるが、通常の場合は専門工事業に外注されるため、現場で具体的な品質管理品質に携わることがない。したがって、ゼネコンは製造業のような生産に直結する作業についてISOを利用する場面がないのである。そのため現場作業の部分に関するISOは、専門工事業に任せるべきで、現場作業の具体的なISOの運用はゼネコンには馴染まないのである。
2.専門工事のISOの機能のさせ方
建設業は専門工事ごとに多岐にわたることが特色であるから、専門工事業ごとにISOを機能させるべきである。この専門工事業は二つに区分することができる。一つは専門工事の管理を担当する企業であり、他は専門の作業を担当する企業に分かれる。この両者を一体化した企業もあるが、企業規模か大きくなれば、専門工事の管理会社と作業業者に分かれるのである。専門工事におけるISOは、前者の専門工事の管理を担当する企業が行うものである。専門の作業業者は管理会社のISOにしたがって品質保持を計らなければならないのである。
3.ゼネコンとしてのISOの機能のさせ方
総合工事のゼネコンの役割は、専門工事全体の工事管理が有効に機能しているかを統括することであって、ゼネコン自体が直接現場作業を管理するのではない。工事管理とは工程管理、品質管理、原価管理、安全管理の4大管理であるが、ゼネコンとしての品質管理であるISOは、重層化した現場の生産構造の中で機能するISOでなければならない。その意味で建設業界におけるISOは未熟なまま放置された状態である。これからの研究が必要である。
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