新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 09/7/1(水) 18:34:30
返信も含め全削除
1.商品生産と注文生産の相違点
原価計算は、伝統的に2種類の原価計算の手法に分かれて発展してきた。一つは商品生産の製造業を中心として発展してきた原価計算である。この原価計算は、請負業のような注文生産と違い、生産者の生産計画によって作られた製品を市場に提供する形態の原価計算である。そのため製品の原価計算は、市場に製品が供給される前に原価計算が完結していなければならないのである。これに対して建設業のような請負による注文生産の場合は、受注の段階で品質や機能が提示された上で、販売価額が合意(随意契約か競争入札)する仕組みのため、事前に見積もる見積原価計算が必要になるのである。しかも受注の段階で売値が確定するため、原価は売値以下に抑えなければならない状況におかれるのである。
2.総合原価計算と個別原価計算
商品生産の特色は、同一製品を大量に生産にする必要から、その製品の生産に関する全ての原価(総原価)を集計し、その総原価を総生産量で割って、1個当りの単価を算出する原価計算法が採用される。この原価計算の手法を総合原価計算という。これに対して注文生産の場合は、受注した製品に限定して原価を集計する原価計算法になるのである。この原価計算の手法を個別原価計算という。このように原価計算は、商品生産対応型の総合原価計算と、注文生産対応型の個別原価計算に区分され、それぞれ今日まで発展してきたものである。
3.建設業界の原価計算の悩み
商品生産における総合原価計算は、市場経済の発展と共に総合原価計算も高度な研究が進んできたが、注文生産業界の個別原価計算は、必ずしも適切な研究が進んでいない。その理由は注文生産の業種や業界が多岐にわたることと、個別原価計算は単純な集計業務であると思われて、研究者や実務家の研究が進んでいないことが指摘されている。また原価計算は、事務系の仕事であるとして発展してきたが、建設業界のように、施工現場では技術系の人によって運用される場合も多く、事務系の原価計算と技術系の原価計算に合意されない部分が多く存在し、社内においても原価計算に関する不具合は、必ずしも適切に調整されていないことが多く見受けられるのである。
|