355.コスト縮減の新しい道具づくり
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/8/12(水) 11:41:49  返信も含め全削除

1.予算管理が適する費用とは
 建設業界の原価管理に関する不幸の始まりは、工事原価を実行予算という予算管理でコストを下げようと考えたことである。本来予算管理に適する費用は、販売費や管理費のような営業費であって、費目別に予算額を計画し、その予算の範囲内で有効に計画を実行することによって、予算管理が有効に機能するものに利用されてきた。つまり予算管理手法が有用視されるものは、販売費や管理費のような営業費に限定されているのである。例えば広告宣伝費のような項目は、予算の範囲内で有効に使い切る方法に馴染むのであって、予算がなくなれば支出行為を停止すれば済むからである。このような予算計画で誘導できる項目については、予算管理が適するのである。

2.予算管理はコスト縮減に機能しない理由
 営業費のような予算管理に馴染むものに対し、工事原価に属する項目については、予算管理が馴染まない費目ばかりである。何故なら、物づくりは、物を作るために生産行動が必要である。予算の範囲内で行動するものではなく、生産行動の結果として費用が発生するものであるから、予算計画で誘導できるものではない。つまり生産活動をコントロールすることによって原価が変化するのであるから、生産活動自体をコスト縮減になるような行動の研究が必要である。施工には各種の施工資源が必要である。機械資源、人的資源、外部資源等の施工資源が必要であり、適切な資源数と組み合せによって、コストが最低限に抑えられる仕組みの研究が必要である。

3.コスト縮減の新しい道具
 コスト管理は、江戸時代から金額による予算管理であった。当時としては労務賃金は低く、材料という物の値段が高かった時代で、材料のランクで予算配分することが原価をコントロールできた時代で、予算管理が機能していた時代であった。しかし今日のように労務単価が上がり、レンタル物が多くなるにつれて、材料費のウエイトが相対的に低下した時代には、予算管理では原価縮減の誘導ができなくなってきたのである。つまり生産行動の適切な計画が重要になってきたのである。建設業界に長い間君臨してきた予算管理手法の実行予算制度から、新しいコスト縮減の道具に切り替わる時代になった。

返信 ご意見やご質問をどうぞ

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.