新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 09/8/19(水) 10:32:07
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1.実行予算制度から乳離れできない経営者
建設業界が実行予算制度にしがみ付くのは何故であろうか。その第1の理由は、経営者や上級管理者が実行予算を強く求めるからである。経営者の立場からすれば当然のことで、現場別の採算性の判断材料になる実行予算は、貴重な経営資料であるからである。採算が合わない現場を野放しにするわけにはいかないのである。そのため経営者や上級管理者は、採算性の判断材料となる実行予算は、なくてはならない経営資料として要求するのである。しかし科学的経営資料としては機能的に低く、気持ちは理解できるが決して褒められる制度ではない。
2.現場代理人の立場で実行予算は役に立っているか
現場代理人の立場で実行予算制度の評価は、大きく2つに分かれている。1つは、施工によって発生する原価を予測することは重要で、原価の目安として役立っていると主張する。しかし、この理由は積極的に機能しているという評価ではなく、なければ困るという漠然とした理由である。これに対して実行予算無用論がある。何故なら、「現場は1つとして同じ現場はなく、現場では何が起こるか分からない。」そのため標準的な予算を見積ることが難しく、実態に合った予算編成ができないのである。無理して作ったとしても予算通りにはいかなから、実行予算はあまり信用していないという。「では完全に必要ありませんね」と問いかけると。実行予算がなければ寂しいなあと言い、風邪を引きそうな感じがするという。いずれにしてもこの2つの意見は、情緒的であり科学的なものではない。
3.大手ゼネコンの実行予算の機能と評価
大手ゼネコンになると全工事が専門工事に分解され、専門工事別に発注しなければならない。中小建設業や中堅建設業であれば直営工事の部署があるが、直営工事を持たない業態では、工事管理が全く違うのである。大手ゼネコンであれば、発注者と同じような環境に置かれるため、考え方や行動までが施主である発注者に類似している。大手ゼネコンの実行予算は、発注者が用いる予定価額と非常に類似している。したがって、実行予算がなければ、専門工事業者に発注できないのである。しかしここに大きな課題がある。それは専門工事業者に対する予算配分の問題と、科学的なコスト縮減の技術の問題は別問題であり、大手ゼネコンの科学的コスト縮減の技術が未解決のままになっている。
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