357.実行予算のオーラがコスト縮減の邪魔
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/8/26(水) 13:23:15  返信も含め全削除

1.コスト縮減の敵は何か
 コスト縮減の原理が解明さているにもかかわらず、依然として古い考え方のままで放置されている。そのため新しい考え方が浸透しない。その原因は、経営者や現場代理人が実行予算の手法で、コスト縮減が可能であると勘違いしていることが一番の要因である。経営者や上級管理者は、現場責任者に対し実行予算で管理することを強く要求しているが、経営者の立場では現場の採算性の目安とするため、予算管理資料を強く要求することは当然であろう。この点についての企業側の要望には異論はないが、問題は経営者が採算性を判定するための道具として使うことと、現場でコスト縮減を具体的に進めることとは全く違うものである。実行予算があたかもコスト縮減の道具になると誤解されるには2つの理由がある。第1は、予算管理は、本社経費であれば現場と違い予算管理が機能するのである。第2の理由は、実行予算のネーミングにある。実行予算という言葉の響きは、実行可能な予算管理ができる道具というイメージが強く、この用語には、実行可能というオーラさえ感じてしまう魔力がある。そのため、実行予算の信者までできてしまう。経営者がこのオーラで採算性を期待することはかまわないが、現場のコスト縮減は予算でコスト削減できるのではなく、コスト縮減の科学的行動で誘導するものである。

2.コスト縮減の行動とは
 コスト縮減の原理は簡単なことで単純明解である。コストの縮減のための具体的行動計画が重要で、実践的にコスト縮減行動を誘導することである。現場の施工活動は、技術者や技能者、作業員が同時に各種の複雑な施工行動をする物であるが、必ずしも施工活動が最適に仕組まれているわけではない。現実は作業の標準化や科学的行動計画が適切に行うことが難しいのである。前後の工程順位を決めることや、多くの並行作業を適正計画すること、また施工資源の適正配置や資源数の適正投入量を決定など、膨大な選択や組合せが存在する。この何百何千という選択と組合せが原価を大きく変動させる要因である。工種によって30%や40%の原価が変動することは当り前であって、信じられないほどの原価に大きな影響を与えるのである。如何に行動計画が重要であるかを認識しなければならないのである。

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