366.段取計画の知的財産化
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/10/28(水) 14:58:08  返信も含め全削除

1.日本人の段取に関する考え方
 日本人に段取の計画書についての意見を聞くと、段取は、仕事をする前の準備のことであり、常識的で当り前のことであるといい、改めて問題にするようなことではないと言う。日本人にとって段取は重要であるが、日常の常識的な行動であって、特別に計画書まで作るには値しないと思われている。この点が諸外国の段取に対する考え方と大きく相違する。欧米先進国では、段取は当り前のようにマニュアル化されており、軽微な作業を除けば本人の自由な裁量に任されることはない。全ての行動が詳細にマニュアル化されており、そのマニュアルに沿った行動をすることを条件に賃金までが決められ、雇用契約がされている。事業者は一定水準の技量を要求するものであるが、仕事の水準はマニュアルによって規定することが一般化している。日本の事業者は、マニュアルに詳細な規定を設けて指示するようなことはなく、全てを任せてしまう傾向がある。これが日本の仕事文化にもなっている。仮に詳細なマニュアルによって指示すれば、マニュアルを窮屈に感じ嫌うひとが多い。日本人が優秀であるかどうかは別にして、諸外国の作業文化とは大きく相違している。

2.日本では知的財産ができ難い
 欧米先進国では、マニュアル化された知的財産が数多く存在する。ISOもその一つで、品質を一定水準に保つ手法はマニュアルによって支えられている。しかも一旦マニュアルによって稼働が始まると、マニュアルは進化するものであり、優れたマニュアルは益々進化することが実証されている。そのためレベルが上がった優れたマニュアルは、知的財産として高い経済価値が生まれ、市場においても高い交換価値の評価を受け、売買されるまでになるのである。このように知的財産とは無形の財産であるが、欧米では早くからマニュアルが知的財産として認められるのに対し、日本では中々評価を受けないのが実情である。日本の人材は、均一化された技量とレベルの高さは認めるが、知的財産の価値を軽視してはいけないのである。日本の具体的な物作りの技量と優れた知的財産が結びつけば、全ての技量が飛躍的に進化することは間違いない。これからは、日本人にとって常識的な段取計画についても、知的財産としての価値があることを認識すべきである。

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