新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 10/1/6(水) 10:16:03
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1.実行予算はネーミングに魔法がかかった誤解
建設業において原価管理として実行予算が使われているが、この実行予算に対する捉え方には奇異を感ずる。この実行予算という名称は、誰がいつどんな理由でつけたのであろうか。いずれにせよ「実行予算」という言葉が使われたため、建設業界に広く深く浸透したものと考えられる。何故なら、本来、施工現場において予算管理は不可能なのである。本社経費であれば、予算がなくなれば行動を停止すれば済むため、予算管理が有効に機能するのであるが、施工現場では予算で管理することは無謀である。予算がなくなったから施工は中止するという予算管理はできないのである。これは実行予算というネーミングに魔法がかかっている。本来現場では機能しないものが、あたかも実行可能であるかのようなネーミングのためであろう。それが原価管理の道具として機能するという誤解を生んだものであろう。
2.真実な原価を追究する
実行予算の算定は、できる限り正確に予測することが期待されるため、業界の実態を踏まえて現実的な積算手法によって算定される。その意味で実行予算は、限りなく市場価格に近づくことを追求したものといえる。その点で適切に積算された実行予算は、真実の原価を追究したものであり、これを目標原価とすること自体は間違っているわけではない。
3.大手ゼネコンの仕分機能の誤解
大手ゼネコンの場合は、実行予算として真実な原価を追究した結果の予算額を、専門工事業に対する予算額の仕分として利用するのであるから、予算仕分機能としての意味はもっている。その点を広義に解釈すれば原価管理と言えるが、これは仕分機能であり、予算の振り分け行為に過ぎないのである。したがって、厳密な原価管理の概念には入らない。原価管理は科学的な根拠によってコスト縮減の機能が要求されるのである。以上の理由で、実行予算が原価管理の道具であるとする誤解は、ネーミングからの誤解と、大手ゼネコンの仕分機能が、原価管理であると誤解されている2つの理由によるものであるが、いずれにしても誤解されて今日まで放置されたままである。本格的な究明が必要である。
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