新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 10/6/2(水) 10:07:14
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1.建設現場の経営管理は完全な独立責任体制
建設業界は、本社と現場の経営管理は、情報共有化した体制で運営されることが少ない。本来の経営管理は、本社と支店や現場は密接に連動しているもので、企業内が一体化していることは当り前である。然るに建設業界の経営管理は連動していないのである。これは現場代理人制度の特殊な形態に起因している。他の業界では考えられない異質なシステムで、現場代理人制度がある。現場の仕事は限定された期間で経営管理が行われることや、本社と現場が離れているためであるが、これは一部の理由であって、主たる理由は現場代理人が、会社から社内請負制度の形態になるためで、現場の真の社長を勤める実権を持って行動する仕組みである。そのため現場の経営管理は、完全に独立体制になって運営されている。つまり、本社の経営管理の管理下にあるのではなく、実行予算によって予算金額が確定した後は、完全な社内請負体制になるのである。したがって会社から請負った現場代理人は、自分の裁量で現場の経営管理を運営する仕組みになっている。現場の施工開始後は、本社の経営管理が及ばない状況下に置かれ、現場の経営管理は完全に独立体制になるのである。
2.経営管理の特殊性が定着した背景
建設業界に今日の経営管理が独立体制で定着した理由は、江戸時代に暖簾分けの思想に関係がある。ベテランになった職人は、その功績を認められ、親方として独り立ちの特権を与えられる仕組みである。そのため独立する時期が到来すると、独立のためのトレーニングがあった。このトレーニングは、施工のための資金を与えられ、自己責任において経営管理のトレーニングであった。利益に相当する余剰金は、本人に与えられ一人前になるのである。今日の現場代理人制度は、江戸時代の暖簾分けに極似した裁量権が生きている。現場が完全な独立採算制度になることが間違っているのではなく、実行予算で独立採算制の経営管理の手法に課題があるのである。入札競争が激しく落札率が低下する時代に、江戸時代に経営管理の思想を引きずっていてはいけない。日本の建設業界も世界に負けない経営管理の手法を導入する時代が来たのである。施工技術は世界一でありながら、経営管理だけが遅れてしまったのである。
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