新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 10/7/7(水) 12:12:15
返信も含め全削除
1.建設業界の現場技術者の特性
建設業界の現場技術者は、理科系の人材で形成されるため自然科学には強いが、社会科学の知識は希薄である。そのため工事管理も自然科学分野の技術は優れているが、社会科学の分野の工事管理は苦手である。工事管理は、品質管理、工程管理、安全管理、原価管理の4大管理があるが、品質管理は自然科学の割合が多く、次いで工程管理、安全管理の順で自然科学のウエイトが下ってくる。特に原価管理については、大部分が社会科学の分野に属するため、現場技術者の管理は、品質管理は熱心に対応するが、原価管理の対応は非常に悪いのである。原価管理が熱心な技術者であっても実行予算による管理程度である。実行予算による原価管理では、実用的なものではなく本物の原価管理手法が必要である。
2.営業で用いられる積算法の狙い
建設業界が用いる積算法の中に工事量積算法がある。工事量積算法とは、工事量1m3あるいは1m2の単価を基本に、工事量を乗じて見積原価を算定する方法である。この計算法は営業部が用いる積算手法で、営業マンが発注者に説明したり説得する場合に用いられる手法である。つまり発注者である客は、生産物の単価が1m3、1m2等が幾らで販売されるかを知りたいからである。一定の品質の生産物がm3単価等で示されてこそ、価格の高低や価値の適切さが判断できるのである。その意味で工事量積算法は販売戦略上重要な積算法である。
3.技術者の積算法の間違い
営業が用いる工事量積算法がいかに優れていても、現場の技術者が工事量積算法を用いることは間違いである。何故なら工事量積算法によって積算された実行予算は、原価管理に用いることはできないからである。原価は、材料費とその他の加工費(労務費、外注費、経費)に分類されるが、材料費は、工事量に比例して発生するが、その他の加工費は加工時間に比例して発生するため、工事量積算法が通用しないのである。近年の工事原価は益々加工費のウエイトが高まり、人件費やレンタル料が高騰した今日の状況下では、特に注意すべきである。外注費も下請企業にとっては時間比例費であることを元請のゼネコンは注意すべきである。元請の工程管理が未熟なため、下請が予定の利益を確保できないのである。
|