新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 10/7/21(水) 16:26:00
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1.研修地の河南省鄭州市の状況
中国政府からの依頼で21年にわたり、市場経済における経営管理の指導をしてきたが、今回(平成22年7月10日から17日まで)は、河南省鄭州市において経営管理の指導を実施した。河南省は中国最大の人口地域で、この省だけで1億人を越えており、首都の鄭州市の人口は800万人の大都会であった。現在の中国は上海のような沿岸地域は大きく発展しているが、内陸に入ると遅れている地域も多く、この地域も発展することに懸命であった。
2.日本的経営に興味を示す
研修に当たり経営者の意見におどろいた。当初から日本的経営について研修をしてほしいとのことであった。中国は計画経済から市場経済に移行するや、米国型の経営管理が導入され、グローバル化した世界市場の中で、競争力を高める手法として、競争力の強い米国型の能力主義を求めたのである。その中国の経営者から日本的経営の研修を求められたのであるから、当初は少し戸惑ったのである。その理由を尋ねると。米国型の能力主義に少し不具合があるとのことであった。能力だけで賃金を査定するため、競争相手が少しでも高い賃金を示せば、簡単に人材の移動が起こり、企業側としては安心して落ち着いた経営管理ができないという。確かに近年の若者は雇用条件特に賃金の額が大きく影響することは日本も同じである。近年における中国の先進的沿岸地域の人件費の高騰は、日本の高度経済成長期の比ではなく、奥地の人件費の安い地域にもその不安が伝播している。
3.日本的経営と能力主義のバランス
中国企業の研修の中で、日本的経営の利点を問われて、日本的経営を改めて見直す結果となった。日本的経営には利点も沢山あるが、しばらく議論すらしていなかったので、日本的経営を改めて利点の見直しをする結果となった。中国企業の幹部に能力主義について聞いてみると、能力が上がれば賃金が上がる点は良いが、能力が落ちれば簡単に首になるため、生活が安定しないのが不安であるという。つまり日本型の年功型賃金制度は、生活の安定感という良さがあり、能力主義と年功型の良い部分のバランスとるための研究を薦める結果となった。
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