新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉
投稿日 10/6(日) 15:09:50
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1、生産性を上げてコストダウンを
原価は生産性を上げてコストダウンすることがポイントである。そこで生産性を上げるために施工効率を上げて工期短縮を計らなければならない。しかし工期は施工状況によって種々の工期変動が起きる要因がある。工期変動の要因が企業内部にある場合と、外的要因によって工期変動する場合がある。外的要因は自社企業の努力の及ばないものであるから、工期管理不能要因という。そこで原価管理は、内部要因で変動する部分を検討し、生産性を上げて工期短縮することが原価管理の対象となるのである。近年、企業内部の生産性向上の新しい手法が研究され、原価管理の高度化が進んできた。しかし、近年の入札環境は益々厳しさを増しており、内部要因による原価管理を検討するだけで、コストダウンを計ることでは十分な解決策にはならなくなってきた。発注者やその監督者の協力も得なければ、この厳しい時代を乗り切ることは出来ない時代となってきたのである。ぜひ外部要因の部分の検討に発注者やその監督者も協力していただきたい。
2.外的コストアップ要因の事例(その1)
発注者の監督官が長期の夏休みをとり、休暇中の現場が完全にストップした事例が発生した。監督官が自分できちんと検査しなければ次工程の施工はだめだと言う。真面目な監督官でひとに任せられない責任感の強いひとであり、意地悪しているわけではない。しかし現場が休業状態になってしまったケースが発生した。監督官としては、現場が休業状態であるから原価が発生していないと思っているらしい。しかし原価は、時の経過によって発生する加工費があることを忘れてはならない。たしかに時間の経過に関係なく発生する材料費もあるが、むしろ原価は加工費のほうが多いのである。この点は、監督者ばかりでなく建設業者も現場が休業状態には原価が発生していないと思っている者も多いので注意すべきである。コリンズによって現場に固定化される技術者の人件費は、現場が休業状態でも発生しているし、重機や仮設材のレンタル料も時間によって発生する原価である。このような時間のロスは、事故によるものや段取りの悪さ等各種の要因で発生するものも多く、すべて工程の時間管理の悪さが原因で発生する。建設業の現場は、工程管理の悪さからくるコストアップのかたまりのようなものである。上述した監督者の事例はお笑いのような事例だが、当人は気がついていないのである。通常の検査中時に施工を休業させることも同様である。ぜひ現場は休業させない状態で検査や検定を実施していただきたい。
3.外的コストアップ要因の事例(その2)
工場生産の施工物を工場から現場までの運送を大型トレーラーで3個を積んで運ぼうとした業者が、監督者に1個づつ運ぶように指示され、その指示に従ったケースが発生した。監督者の理由は、仕様書の積算が1個づつ運ぶ積算になっていることが理由であった。しかし運送という業務の裁量権は施工業者にあるのであって、品質等発注者に不利な状況の指摘であれば当然であるが、このケースは監督者の指示は行き過ぎである。ましてトレーラーの積載量違反ではない状態であった。施工業者の言い分は、交通事故の確率が3倍高くなるという。もっともな話である。国家的見地からすれば、省エネ時代にエネルギーの無駄使いであり効率良い運送は当たり前の事であり、発注者や監督者の指示は行き過ぎである。
建設業界は、官民ともに工事量減少期に入り、施工効率を上げて利益を確保しようとする考え方やその行為を発注者も支援していただきたい。
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