新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉
投稿日 10/27(日) 09:23:16
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(3)材料副費を研究する理由
材料の購入に当たり附帯して発生する費用を材料副費という。この材料副費の処理は原価計算の精度を上げることに深く関連しており、原価計算上多くの課題を抱えている。そのため材料を直接取り扱わない大手ゼネコンや材料込みで下請企業に外注しているゼネコンであっても、材料副費の問題は原価計算の研究として整理していただきたい。それは原価計算の本質を整理する上の教材事例として重要であるからで、自社企業に材料副費の問題がない企業であっても、原価計算の真髄に触れる部分があるからである。
(4)材料副費を材料費の取得原価に算入する理由
材料副費とは材料購入に関して発生する附帯費用であるが、その代表的付帯費用は材料の引取運賃である。この引取運賃は本来購入原価に算入し、運賃算入後の購入価格に修正することが原価計算上重要な処理であり、その考え方を整理しておかなければならない。
<例> 材料1,000個を単価\200で購入し、その引取運賃が\40,000を要した。そのうち500個はA年度の現場で消費し、残りの500個はB年度において消費した。
<第1処理法・運賃別処理>
購入数量1,000個×材料単価\200=\200,000・・・・・・材料購入価額
A年度消費量500個×購入単価\200=\100,000・・・・・A年度現場負担額
上記の材料に関する引取運賃\40,000を分離して運搬費で処理した。
この処理による原価計算では、A年度の材料費が\100,000で運搬費が\40,000として費用処理されるため、A年度の費用負担は\150,000となり、B年度で消費される材料費は\100,000となる。これでは両年度の材料費消費高が同一でありながら材料費が相違することは、原価処理が間違っているためである。両年度の原価計算も比較ができないことになる。そこで第2の処理法でなければならないことになる。
<第2処理法・運賃込み処理>
材料購入代\200,000+引取運賃\40,000=\240,000 ・・・修正購入価額
修正購入価額\240,000÷購入数量1,000個=\240・・・・修正購入単価
A年度消費量500個×修正購入単価\240=\120,000・・・A年度現場負担額
この処理では、A年度原価計算上の材料費が\120,000として計算され、B年度で消費される材料も\120,000と処理される。A年度とB年度は同数の500個を消費したのであるから、両年度の材料費が\120,000となり原価計算が正当化する。
(5)製品的原価(プロダクトコスト)の理論
遠隔地から材料を購入した場合は、材料の購入単価が安価であっても、引取運賃、荷造費、保険料等各種の仕入附帯費が発生する。地元建材店から購入する場合は運賃等を含むため\240となり、地元購入の場合は初めから仕入附帯費を含んだ価格設定となっている。そのため仕入附帯費を購入時に別途発生した場合であっても、その材料の購入価額に算入することで購入条件が同一となる。これら仕入附帯費を原価計算上で製品的原価(プロダクトコスト)として最重要課題として取り扱うのである。この製品的原価については、建設機械や車両運搬具の購入時点でも発生し、原価計算に大きな影響を与える項目である。そのため原価計算を勉強するものとしては、前述したとおり原価の思想や処理法等の整理に重要であり、詳細に研究することにしたい。
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