<29>競争遺伝子と能力主義
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 8/31(日) 13:22:06  返信も含め全削除

1.市場経済下では能力主義が作用する
 人材の市場経済化が能力主義である。しかし日本経済は市場制度になっていながら労働市場の市場経済化が遅れている。社会主義圏の旧ソ連や旧中国の計画経済時代と同様の年令型賃金がベースが依然として続いている。日本は人間関係の「和」を重視するため、競争原理をベースにする能力主義がなかなか馴染まなかった。近年は日本の労働市場にもようやく能力主義が導入されてきたが、依然として年令給がベースになっており能力給を少し加味したに過ぎなく、依然として給与の基本的思想は年令型がベースになっている。社会主義における市場経済を主張する中国や近年のロシアは、欧米型の能力主義が当たり前になっている。日本の労働市場の年令型の賃金制度では、世界の市場経済に遅れるのは当たり前である。日本の市場経済が世界の市場経済と大きく異なる点はここにあり、日本も早急に能力主義に切り替えなければ世界市場について行けなくなってくる。

2.現代社会の能力主義と競争遺伝子
 人材の市場経済化が激化すると必然的に能力によって格差が生じ、能力によって収入が変化するから財産の蓄積にも大きな差になって現われる。能力主義はこの財産の蓄積格差があまりに大きく作用するから、人間社会のもう一つの理念である平等思想に反するため、人類の長い間の悩みの種であり論争が絶えなかった。しかし社会主義による計画経済の実験で単純な賃金平等化が国の経済を破壊することが実証されたのである。いまや年令型の賃金平等主義が市場経済下で機能しないのであり、能力主義に切り替えざるを得なくなったのである。この時代になっても日本では能力主義に反対者が多く企業力向上の妨げになっている。能力主義には大きな欠陥もあるが日本だけが世界から孤立するわけにはいかないのである。

3.競争原理には勝敗がつきもの
 市場経済の激化による能力主義の採用は、当然人材の能力に勝敗現象が起きるため、能力の勝ち組と負け組みが現われる。これが精神不安の現象の原因であり大きな欠陥である。この激しい競争原理の作用でストレスが激増し心身異常者が増加してくる。人間は負けたままでは生きられないという競争原理の作用である。勝敗結果の異常現象としての負け犬に追い込まれと自己防衛の最終段階として、ターゲットに向かって逆襲する場合もあれば、自分を死にまで追い込む場合さえある。人間の悩みは絶えないものである。

4.競争遺伝子の強弱とマネジメント
 人間には能力の格差の他に競争遺伝子の強弱の特性が重なって現われる。この競争遺伝子の強弱は性格にも影響を与え固体としての特色となって現われる。これらの人間社会の各種の現象を単純に「良いか、悪いか」の問題として解決するものではなく、人間社会で起きる必然的現象である。したがって人間集団のリーダーが如何にマネジメントするかにかかっている。親や先生、上司、管理職等のリーダーの誘導が如何に重要であるかを物語っている。本人は自分が持っている遺伝子の強弱を変更することはできない。だからこそ固体の持つ特色の可能性を生かすも殺すもリーダーの責務であり、本人の競争心と相乗効果を出すマネジメントが重要なのである。

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