<59>日本の労働市場の変化とISO
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 3/28(日) 22:36:06  返信も含め全削除

1.日本の労働市場に構造変化が起きている
 欧米の市場経済圏では、早くから管理職や特殊技術職等の正社員族の労働市場と、非正社員族である契約社員や派遣社員、パートタイマー、アルバイター等の自由労働市場に、労働市場が二重構造化が進んでいた。日本でも近年になって正社員族労働市場と非正社員族労働市場に二重構造化が急速に進んできた。これは近年の世界経済がグローバル化したことによる影響で、労働市場のシステムまでが影響を受けてきたことを現している。日本の労働賃金は世界最高であるが、二重構造化の現象は高賃金にブレーキがかかる作用となって現われている。産業界によっては高賃金のままでは経営が成り立たず賃金の修正が必要になってきたが、労働市場が二重労働市場化が進んできたのは必然的現象である。したがって、企業経営も新しい労働市場を前提とした経営手法に切り替えなければならない時代になってきた。近年の企業経営の再構築が叫ばれているのは、この二重構造化の影響によるものであり、以前の労働市場の状況に後戻りすることはあり得ないのである。

2.管理職の職務に機能変化が起きている
 管理職としての役割や職務分担が大きく変化してきた。従来の管理職は、担当部門の専門家としての能力が問われ、その実績と経験年数によって管理職としての能力が判定されていた。そのため管理職は部下に対しては命令や指揮によって統率する能力が問われていた。社内はピラミット型に組織され、その集団の指揮官としての職務が要求されたのである。まさに軍隊組織と攻撃型指揮官の機能が求められたのである。部下も正社員族の兵隊であり上官の命令に従順な部下であった。したがって上官としての管理職は部下を命令によって戦力化することが管理職の重要な役割であった。これに対して近年の管理職は、所属するチームやグループの命令を下す上官役ではなく、チームやグループのコデネーター役(調整役)の能力が問われるようになってきた。何故なら、所属するチームやグループの人材は、正社員ばかりではなく非正社員族もメンバーであり、むしろ非正社員の人材にウエイトが益々かかってくる時代となってきた。そのため従来型のようにピラミット型軍隊組織や絶対服従の命令によって運営することが難しくなってきたのである。

3.人材能力のバラつきにはISOが威力を発揮する
 グローバル化した世界市場の中で生き残るための経営戦略として、高い能力の人材と安い賃金の労働力が企業経営成功のカギである。そのため自由労働市場から安くて高い能力の人材を集める方法が要求される。能力とは人材の素質や経験が重要であるが、新人を短期間に一定水準までの能力を発揮させる手法として研究されたものがマニュアル手法である。特に品質管理については、職種によってはマニュアルによって成功している事例が多く世界的に知的財産として認知されるようになった。しかも、マニュアル運用中に進化させるISOの手法は、運用経験が増すごとにシステム自体が進化するし、チームがISO情報を共有することで益々威力を発揮する。情報共有化のシステムが管理職の職務に大きな変化を与えており、人事組織や経営管理にも大きな変化をもたらしてきた。ISO情報を共有化した本物で本格的に運用していない企業が多いが残念なことである。

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