新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 5/9(日) 17:08:17
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1.国土交通省のISO9001の取扱いの変更について
ISO9001については、入札条件を入れて一部の試行工事で検討されていた。その間に建設業界では将来、公共工事の入札には全面的に入札条件として採用されるという噂が流れ、建設業界はこぞってISO9001の認証取得を目指し、多くの建設業者が争ってISO9001を取得した。また、この状態を煽り立てたのがISOコンサルタント業界であり、建設業者は将来の不安を感じISO9001の取得に懸命であった。しかし国土交通省は試行工事で検証した結果、ISO9001の取扱を入札条件から外すことになった。
2.入札条件から外れたISO9001
ISO9001は品質管理の世界標準であり、品質管理については信頼できるシステムとして、当然公共工事の入札条件に入れるべきであるとの主張があった。特にISO9001を取得した業者からは入札条件に早く入れてほしいという陳情すらあった。しかし、国土交通省の試行工事の結果入札条件から外し、立会いによる品質管理の段階確認に替えてISOの検査記録の確認に置き換えることにした。しかしこの場合でもISO9001を取得し、なおかつ国土交通省が実施している従来からの工事成績で施工能力の判定を活用する。例えば過去2年間の工事成績評定の平均点が70点以上であり、かつ過去5年間の評点に65点以下の工事評定を受けていないことが条件である。ここでもISO9001を品質についての完全な評定としては利用しないのである。
3.業界関係者のISO9001に対する認識の甘さ
ISO関係者であるISO認証機関、ISOコンサルタントや建設業者のISO9001に対する認識の甘さによって引き起こされた発注者の結論である。建設業界は元請、下請、孫請等生産者が重層化している業界であり、工場生産する場合のISO9001とは同じ品質管理が出来ないことは当然である。然るに目先のISO認証取得ばかりに目を奪われ、単に入札条件を有利にするために簡便な方法で取得することだけが目的となってしまい、ISO本来の重要性を見逃してしまい形式的な認証取得をすることが目的となっていた。この点を発注者に見透かされた結果になってしまった。建設業界にISOが馴染まないのではなく、建設業界特有の生産管理を認知し、建設業界特有のシステムとして構築したISO9001を取得すべきであった。
4.ISO9001に対する建設業界の意見
ISOが公共工事の入札条件から外れたことによって、建設業者側の意見として「当てが外れた」という意見が多く聞こえてくる。建設業界の意見としては、これでは何のためにISO9001を取得したか意味がないと言う意見が非常に多く上がっている。それもそのはずでISO9001を取得するため多額の資金をかけ、ISOを維持するために更に多額のランニングコストがかかるからである。中小建設業では全く価値がないとまで言い切る業者さえいる。業界の一部の意見であるが、ISO9001取得者の中で80%の業者は継続しないのではないかという予想するひとさえいるのである。いよいよ入札条件と関係がなく、本物志向でISO9001の認証取得する時代がきたのである。本物以外に役立つ方法がないのであるから当然である。
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