◎ 講演会の気になる中国経営者の質問
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 6/27(日) 20:17:55  返信も含め全削除

1.中国東北三省の労働思想の実情
 このたび、中国政府からの依頼で実施した研修会講演会には、多くの経営者や上級管理者が参加した。その研修会場で受けた質問がすべて人材について共通していた点が気になった。人材についての能力問題や人的組織に関するもので、市場経済化における能力主義をどのように導入するかの悩みがにじみ出ていた。また人的組織についても従来型のピラミット型の組織が限界に達していることも感じられた。中国南方沿岸地方の上海や広州は、日本企業より能力主義化が進んでいるが、中国の東北地方は重工業が多い地帯であり、国営企業も多い地域である。中国政府は社会主義における市場経済という施策であるから、国営企業のすべてを民営化する気はないであろうが、国の施策もあって南方沿岸よりは、国営企業の民営化が遅れているし、一般企業についても市場経済化の経営管理が進んでいない。なにより東北三省の黒龍江省や吉林省、遼寧省の人材については労働思想に遅れが感じられる。特に北に行くほど市場経済化の思想に課題が残されている。

2.研修会等での質問で感じたこと
 中国の経営者や上級管理者は、人材の能力主義化の関心が非常に高いことに気が付いた。何故なら、日本企業で世界戦略を実行している企業は別にして、日本の大部分の企業は社会主義的年令型の給与体制であり、中国の遅れている東北三省よりも更に労働観が遅れていることが気掛かりである。年令によって昇給する年令型給与や各種の手当制度(家族手当や通勤手当、その他諸手当)及び退職金制度は、すべて社会主義における計画経済時代の労働思想であり根強く残っている。ある意味で日本は中国よりも社会主義における計画経済の残骸が強く残っていることになる。世界戦略をとっているソニーですら100%の能力主義体制が今年の4月から完全実施ができたばかりである。他のほとんどの企業は能力主義といっても年令型の給与を少し縮小し、能力給を多めに加味した混合型に過ぎないのである。

3.グローバル化した世界巨大市場は能力主義化が進む
 給与制度をそれほど大きく取り上げる気はない。日本の給与体制自体の問題ではなく、年令型の給与体制よりも給与に対する労働思想が市場経済型になっていないことに問題があるのである。何故なら人材の市場経済化が能力主義であるからで、自分の能力という商品を企業に売却しその代金(賃金)との交換が労働市場で行われるという思想が欠けている。中国経済の勢いはこの労働市場の勢いでもあり、当分おさまる気配が感じられない様相である。労働市場が激しい能力主義の争いになることは好ましい面ばかりではないが、世界巨大市場の中ではいっそう能力主義化が進むことは間違いないし、地球規模の現象であり後戻りをする余地は全くない。日本人はこの労働価値観をどう変革するかが今後の日本経済や企業経営に大きな影響をあたえることは間違いない。さあどうする?。

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