新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 10/31(日) 16:33:09
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1.情報化社会と管理の難しさ
以前に比較すると集団の規律を保つことが難しくなってきた。その原因には幾つかの側面から整理することが出来る。第一は、上位者である親や先生あるいは企業における上司からの垂直型の命令情報を発信する場合に、その情報が良質のものであれば問題ないが、質の悪い情報であれば下位者であっても上位者の情報に従わず他の良質な情報を勝手に選択してしまうからである。なぜなら過去の情報不足時代とは違い、下位者にあっても良質な情報が容易に入手できる環境にあり、上位者からの命令情報であっても明快に理解できるものでなければ納得しないからである。これが情報化社会における下位者の通常の行動となってきた。然るに上位者が不勉強のため良質な情報を下位者に対し的確に提供できない場合があり、下位者は上位者に対して謀反的な態度で必ずしも従わないのである。その意味で情報化社会における上位者は、的確な判断ができ良質な情報の提供者としての能力と勉強が要求されるのである。かくして情報化社会における集団の管理者は命令型より指導力に力点を置く能力が問われる時代となったのである。
2.個人主義社会の管理の難しさ
日本を含む先進国は、一人っ子社会になり集団内の命令管理に馴染まない若い個人主義者が増えている。前に記述したように以前は蟻や蜂のように働き蜂(兵隊)の思想が存在したが、しかし近年の日本の親は一人っ子の子供を働き蜂のような兵隊にする意識はほとんど持っていない。少子時代の親心であろうが最高のリーダーを想定した教育に熱心である。これは批判しているのではなく現代社会の個人主義化の解明のための分析である。このように幼児の時代から命令によって働く訓練をしていない人間であり、若者として社会に出る時点では集団管理に馴染まない個人主義者の人間として完成しているのである。この個人主義者達は教育によって集団主義者に変更できるものではなく、基本的に価値観や世界観が違う人材である。集団主義者の価値観をもつ上位の管理者は、この個人主義者を有効に戦力化すことができないでいる。個人主義者を戦力化するためには、過去とは違う新しい勉強を始めなければならないのである。
3.自然界の掟の変化による管理の難しさ
過去の情報不足の時代には、脅威を感ずる危険地域には近寄らなかった。また危険防御の手段としては集団化して力を結集する方法が用いられていた。これが近年の安全情報(危険情報も含む)が的確に提供される時代になると人間は安心して行動範囲を広げていく。この現象は人間ばかりではなく、自然界の猿や熊、鹿、鳥等においても安全度の信頼度が高まれば自然界の掟を超えて行動範囲を拡大する。すべての生物環境にエリアレス化が進んだのかもしれない。いずれにしても過去の地球上で体験したことのないエリアレス化の環境変化が起きており、人類が過去の体験でつくり上げた習慣文化が通用しなくなってきた。しかし企業は集団化して力を発揮する必要があるから、集団の規律についても新しい世界観が必要になってきた。このまま状態で放置する訳には行かない難問である。
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