<90>自由放任はなぜ起きるのであろうか
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 11/7(日) 13:16:37  返信も含め全削除

1.自由放任の社会学的原理
 今日の情報化社会が人類に大きな影響与えたものは何であろうか。それは個人の判断基準に与えた影響であろう。人間は行動する前に行動の種類や方向等各種の決断をしなければならない。この決断の時点で多くの情報が必要になるが、過去の情報不足時代と比較すれば現代社会における情報量の多さが違いであろう。情報量が多ければ適切な判断ができるかどうかの問題は別にして、適切な判断には良質な情報が必要であることは間違いない。世の中には悪質な情報も多く存在するが、その情報を取捨選択するのは当人の自由であるから選択側の責任である。かくして情報化社会の我々の行動は、情報不足時代よりは適切な判断が出来る環境になったことは間違いない。この原理からすれば自分にとっての上位者(権力者と言ってもよい)が質の悪い情報を提供しても下位者は自分の判断で上位者からの情報を拒絶してしまう。更に本人が確立した価値観や習慣文化の相違が加わるためなおさらである。このように情報化社会は自分の判断基準を確立させるため、結果的に上位者が統制しにくい状況になり、自由放任の構造化の様相を呈している。

2.情報化社会が和の文化を崩壊させる
 情報化社会は良質な情報をベースに、個人が自分で入手した良質な情報によって自ら決断する人々を増殖される結果となっている。このような社会構造になると協調とか妥協という和の文化に影響を与え、和の文化ができにくい社会環境になってきた。日本文化は協調を重視する文化であり社是や社訓に「和」の文字を用い日本的文化を作り上げてきた。しかし、情報化社会に入り前述のような原理が作用し和の協調文化が崩壊を始めており、もう後戻りすることはできないところまで来ている。夫婦や家族についても同様の現象が起きており、主人や家長としての威厳や権力が薄れている現象は、上位者から下位者に対して垂直に流れる情報が、情報不足時代と比較すると極端に通りにくい状態になってきた。離婚率が上がり家庭崩壊も増えている。この点で情報不足の地域を地球規模で観察しても証明されている。

3.情報化社会と自己主張
 人間に良質な情報を与えると自信をもって自己主張する。相手の情報の欠陥を指摘し自分の判断の正当性を主張する。そのため人間は良質な情報を求めて収集し分析、検討をするのである。情報化社会は人間に自己主張が出来る環境を与えたのであるから、現代の情報化社会は未経験な環境であり、情報化社会を前提にした新しい社会生活の文化を構築しなければならない時代である。情報化社会は全員で自己主張が強くなる社会環境を創出したのである。全員で自己主張をすることは、協調や妥協という「和」の文化の反対側にある状況である。全員が自己主張する環境は、ある意味では全員が対立構造といっても過言ではない。近代選挙における民衆の行動にも現われてきた。職場等の組織票に異変が起きている。民衆は自分が入手した選挙情報によって自己主張するため組織票がまとまらなくなってきた。情報不足時代は職場の票のほとんどをまとめることが出来たと言われていた。しかし現在では夫婦の間でも票が分かれ各自が強烈に自己主張する。

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