<97>ドライな新市場主義と価値創造の原理
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 12/26(日) 12:12:10  返信も含め全削除

1.交換価値の創造原理
 市場経済における交換価値の形成は、一部の希少価値や絵画、骨董等の価値を除けば、生産物の価値は労働の量に比例するという考え方がある。いわゆる労働価値説である。製品の素材である原材料は自然界が提供してくれたものであって、人間が創り出した物はひとつもない。人間は自然界の贈り物である素材を単純に加工しているに過ぎない。例えば木製品であれば自然界の樹木を山で切り出す場合、木材の当初の価値はその作業員の労働の量がベースして決定する。次は山から木工場まで運び出す運送人の労働の量がベースで決定され、木工場では木材を加工する作業員の労働の量がベースに決定されている。また、山で切り出す場合に用いられる鋸等の道具や運送担当者が用いる運送器機、木工場での加工機械等の価値形成についても、自然界の素材を同様に積み重ねた労働の量がベースになっている決定される。したがって財貨の価値のベースはすべての労働の量に比例するという考え方である。

2.グローバル化社会の労働単価
 労働価値説による財貨の価値は、すべての労働の量がベースにあるとする考えは正しいであろうが、近年の世界情勢では先進国と発展途上国との間に存在する賃金格差の問題がある。近年の賃金格差の問題は生産拠点の移転となって現われてきた。経済発展を遂げた先進国は所得が上がり豊かな生活を享受している。しかしその事が労働単価を押し上げる結果となってしまった。過去の世界状況のように国単位が確りとした経済システムの時代には、各国の賃金格差の問題は生産拠点の移転まで影響はしなかったが、近年のように国単位がエリアレス化した時代には、世界市場がグローバル化現象によって一体化させてしまった。その中で労働単価の競争が地球規模で激化し、先進国から賃金の安い発展途上国へ生産拠点の移転が始まったのである。労働単価も地球規模で一物一価の法則が作用してきた証拠である。労働価値説の経済価値である労働単価が大きく影響してきたのである。

3.生産性と労働価値説
 日本では昔から時は金なりという言葉があるが、物の価値は「労働時間×労働単価×生産性×品質価値」で決まるものである。生産性とは同一時間内において生産量を上げることであり、まさしく時は金なりである。労働単価が安いことは基本的な競争力を持っているが、安いだけの労働単価が絶対的競争力ではない。単純労働では「労働時間×労働単価」となるから、労働単価が低いほど競争力が強いのは当然である。しかし近年の世界市場においては「品質と価格」が一体化した状態の高度な市場での競争である。品質についての競争はJIS規格やJAS等のマーク、生産現場ではQC、TQC運動やPL法、住宅性能表示制度、ISO等の問題であり、市場経済において高品質は当たり前の条件である。品質は世界的に最高位にあることを前提に地球規模で価格競争が始まったのである。そこで重要なことは労働単価に加えて労働生産性の問題である。労働生産性の問題は労働時間の効率化の問題であり、近年ほど労働生産性が問われてきたことはない。

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