新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 1/2(日) 11:51:58
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1.生産性と労働モラルの揺らぎ
人間の行動で厄介なことは、高度に頭脳を発達させたことによって精神的に外部の影響を受けやすくなったことである。人間は社会環境の変化に順応することも早いが、一方で簡単に大きなダメージも受けやすい特性を持っている。そのため一生懸命働くこともあるが、一瞬に労働意欲を失ってしまうこともあり、労働意欲や労働モラルが常に揺らぐのが人間の特性である。
2.労働意欲と情緒的命令手法の限界
人間の労働意欲や労働モラルの揺ぎは人間の特性であり決して避けることができない。この労働意欲の揺らぎの中で生産性を上げることは大変なことである。生産性が低下した状態を上昇に変更するために、情緒的な手法で改善しようとする場合がある。情緒的手法とは命令の形式を採り「生産性を上げろ」という指令を発信する。ここで問題になるのは命令の中には発信者の感情が必ず混入する。なぜなら、命令の影に生産性低下の怒りが潜んでいるからである。情緒的な命令には受信者に同じ強さの反発を内に蓄積する結果となる。その意味で声による情緒的命令の形式では労働モラルを変えるには難しい。下手をすればイジメの環境に近くなるからである。これらの課題は労働組合運動の中で賃金や労働高速時間と共に、社内の人間関係等として処理されることが多かったが、必ずしも適切に解決しているとは思えない。
3.マニュアルの重要性
近年、労働意欲や労働モラルの解決策の一つとして利用されるようになったのがマニュアル手法である。細かな仕事の内容や仕事の手順をマニュアル化し、マニュアルを条件として採用時にドライに契約を結ぶ方式である。情緒的部分を出来るだけ排除し、ドライな契約によって一定の生産性を確保する方式である。日本では未だ定着しているとは思えないが、アルバイトやパートに導入され始め、着実に若者や女性に受け入れ始めている。労働意欲や労働モラルの揺らぎを防ぐ手法として、ドライな手法のマニュアルによる契約方式の方が馴染む時代になったのである。情緒的手法が成功した時代は、企業や人に忠誠心をもつ環境の時代であった。今でも多少の忠誠心はあると思うが、時代劇にでるような忠誠心があるはずがないし、新しいタイプの忠誠心らしきものが出てきたが、もはや忠誠心の概念に当てはまるものではない。
4.産業ロボットのマニュアル
産業ロボットがなぜ生産現場に導入され成功しているか。産業ロボットは生産性を上げるためのマシーンであり、労働モラルに関係がないからである。しかし人間はロボットにはなれない。マニュアルによってドライに契約を結ぶことは、産業ロボットに近づこうと努力しているのかもしれない。新市場主義のドライで冷酷な競争原理が作用する時代は、情緒的に労働意欲に訴えるだけでは対応できる時代ではない。科学的に生産性を上げる努力を欠かすことができない時代である。世界市場を視野に入れて労働意欲が出るようなシステムの開発が重要な時代である。
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