<103>新市場主義と労働価値観の転換
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 2/6(日) 19:27:35  返信も含め全削除

1.生命維持と交換経済時代
 DNAという生物の基本的な部分の継承システムは、前述のようにドライで冷酷に継承する仕組みと、ウエットな情緒的な部分の双方がDNAにバランスよく仕組まれている。このバランスが崩れた生物は地球上から消滅しているのであろう。どちらが弱くても強くてもいけないのである。何故なら外敵から身を守るための防御システムは、冷酷なほどまでに強烈なシステムとしてDNAに設計されている。これは生命維持のために厳格なで最強のシステムだからであろう。この生命維持システムの設計図はDNAが子孫に伝承される根幹になっている。脳を進化させた人類は、生命維持のために採取した食料の余剰分を、他の食べ物と交換することで豊かになることを体験し、自分の採取する得意分野に特化することの優位性を体験した。これが職業の始まりである。これが原始的交換経済の始まりである。自分の職業を特化させ努力をするほど豊かになることを覚えたのである。しかし貨幣という富の蓄積の道具を発見するまでは貧富の差はさほど生じない時代であった。この時代を交換経済時代という。

2.貨幣経済時代に今日の競争市場の原型ができた
 物々交換時代には交換される双方所有の物が等価になることが難しく、物々交換が成立するまで手間取ったに違いない。そこで交換手段である貨幣を考え出しその後の経済の拡大に大きく貢献した。しかし交換の道具であった貨幣を蓄積することが経済的豊かさであることを体験した人類は、貨幣の蓄積が目的とさえなって大富豪が現われ、更に権力までが強大化する結果となっている。大資本家の出現である。このような現象は生物のDNAに仕組まれた冷酷な弱肉強食の遺伝子の作用であり、自然界の摂理として生物に仕組まれている。経済としての競争原理が作用する市場経済は、今日のグローバル化現象によって地球規模に市場が一体化してしまったのである。そのため人類が過去に経験をしたことがない激しい競争となって現われてきた。地球上の人類すべてが一つの土俵に中で競争するのであるから、凄まじい競争になるのは当然であるが、重要なことは人類が体験したことがないビジネス社会になったことである。これを新市場主義社会という。

3.新市場経済型の労働価値観に転換できるか
 今、日本人の労働価値観が危うい。長い間続いた社会主義的な年令序列の労働価値観は、この新市場主義に最も合わない労働価値観であり、日本の働き手は新市場主義の労働価値観を受け入れることに難色を示している。新市場主義の労働価値観とは、超能力主義という労働価値観であり、日本人には最も馴染まない労働価値観である。日本人は集団主義を好み、集団内は「和」を理念とする価値観を好み、一匹狼的行動をとるひとは好まないのである。これは島国の中で生き延びる為の知恵であったであろう。しかし今日のグローバル化現象は、日本人が馴染んだ年令型労働価値観が破壊し始めており、今やグローバル化したビジネス界では、好みの問題ではなく企業存亡のカギとまでなってきた。日本人の労働価値観を転換することができるかの岐路に立たされている。

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