新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 2/20(日) 17:37:33
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1.長く続いた学歴社会に変化
学歴社会は、学歴の分だけ勉強してきたのであるから形式的には能力主義ということになる。しかし、冷酷な新市場主義の下では形式的な学歴だけでは通用しなくなってきた。本来能力主義というものは実質的な実力を指すのであるから当然のことであるが、長く続いた形式的な学歴社会はいよいよ本物の能力が問われる時代となってきた。従来型の学歴社会がいよいよ崩壊する前兆ともいえる各種の現象が起きており、企業内だけではなく若者の学歴離れにも現われてきた。辛うじて学歴を利用している点は、統計上で比較的素質の良い人材の確保に使われている程度であろう。
2.学歴社会を支えた集団主義
先輩後輩の関係を重視する集団主義は、少しの接点を求めて集団化する。それは同窓であったり、同郷であったりするが集団化の理由は色々である。特に同窓の場合であれば絆の深い関係を感じ集団化する条件としては特別深い関係の感じで集団化する。このような同窓を中心とした集団化は、先輩後輩で年令で序列化する必然性があるため、企業内人事も当然影響を受けて先輩後輩の序列化が出来上がってしまうのである。このような同窓を中心とした学歴社会であるから、能力による適正配置や本格的能力主義への移行は難しく、日本の人事制度は年齢序列ピラミット型人事組織が馴染んだのである。もちろん集団主義は負の遺産ばかりではなく良い点も沢山ある。すべての生命体は弱い面を持っており、弱い部分を補完し合うための行動として集団化するのであり、弱い部分を集団による助け合い運動に救われることが沢山あるのである。個人としても助けられるし、所属する集団自体も集団パワーとなって現れることは沢山ある。これは弱肉強食の社会で生き残るための人間の知恵でもあるし生物の本能的行動でもある。
3.集団化の弱点と個人主義
従来型の集団主義の力を発揮させるためには、集団に参加する個々人が集団主義の思想を持っていなければならない。しかし近年の個人主義化の台頭で集団主義の思想が後退してきた。若者を中心に個人主義化の波が押寄せ40才前半まで個人主義化が進んできた。これは一人っ子育ちで形成された価値観であり個人主義化の波は当然の現象である。個人主義者を集めて集団主義の手法を用いても、その集団組織内は無責任集団の様相となってしまう。今や集団で責任を負うという手法は、近代企業経営では考えない方が良いであろう。その意味で個人主義者の能力を基本として人事体制を組み立てる時代が到来したともいえるのである。従来型の集団主義者が相対的に減少し個人主義者の増加する中で、新しい人事体制を構築するためには、個人の能力に頼らざるを得ないのであり、個人主義をベースにした能力主義にならざるを得ない環境が整ってきたのである。
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