新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 8/7(日) 17:48:02
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1.能力主義と年令主義
日本で能力主義時代と言われて久しいが、日本の能力主義は決して予定通りは進んではいない。それは日本的経営の基本的構造である年令型(年功型というより年令型というべき)の人的組織の文化に馴染んでいるためである。なかなか年令序列の残骸が企業内から消えない。日本は「和」を重視する人的構造文化であり、これが能力主義に対して排他的に作用し、長く続いた年令序列型の組織を切り替えることができないのである。しかし市場は益々激しい競争原理が進んでおり、社内も従来型の「和」を中心とした仲良しクラブでは競争力が予定どおり発揮できない時代となってしまった。従来のように程よい競争時代の市場環境であれば、居心地の良い年令序列型のサラリーマン制度が機能するが、もはや実態としての年令主義は、事実上は崩壊していることは間違いない。今日のような激しい競争環境の市場経済の下では、年令主義の残骸が残っている企業では、企業の存続が危うい状態になってきていることを留意すべきである。
2.能力主義と起業化精神
近年、日本各地でミニビジネスの立ち上げが増えている。企業とまでいかない規模であるにせよ、ミニビジネスを立ち上げるひとは能力主義の意識が高い。従来型の居心地の良いサラリーマンと比較してみると、ミニビジネスであろうが新規事業立ち上げの起業家であろうが、間違いなくサラリーマン意識とは大きな違いがあり、自立したビジネスとしてスタートする場合は、完全な成果型でなければならないから、多少の意識の差異はあるが、ビジネス成功の成果は自分で責任をとる結果となる。これほどの能力主義はないであろう。企業内の人事体制も徐々に能力主義体制の深みが増しており、着実に日本は成果型の能力主義の思想が一般化しつつある。企業に設けられるチーム編成にしても成果を強く求められるものであり、企業内も色々の形態を思考しながら能力主義や成果型の手法を模索している。
3.起業化の動向と能力主義化
米国では従来から新規事業へ挑戦する若者の起業家が多いが、近年日本においても若者の起業家が増えており、自立型の能力主義の現われである。これからの日本の大学教育に求められるのは、平均人間製造工場としての教育機関ではなく、自立型の能力主義に耐えうる人材育成が重要である。いずれにせよ日本においても諸外国に見られる独立型の人材を養成しなければならない。日本の若者からも米国に類似した起業家が出てきたことは、日本の市場経済にとっても喜ばしいことである。現代若者の特色である個人主義者は、自立型能力主義が馴染む人材であろう。型にはまった従来型サラリーマンには馴染が悪く、自由に行動できるフリーターや自分のビジネスとして起業することが得意である。いずれにせよ、日本の人的資源は、着実に能力主義に馴染み始めていることは間違いないし、日本全体としても年令主義から能力主義へ移行が始まっていることは確かである。
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