<135>本格的市場経済型の経営と人間の特性
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/25(日) 13:06:36  返信も含め全削除

1.市場経済型の経営体質に対する決断
 市場経済の競争原理が激しく作用する状態の中で、あまり競争を好まない経営体質の企業群と、激しい競争を前提とした市場経済型の経営体質に移行した企業群に分かれてきた。競争原理が異常に激しく作用する市場経済のシステムは、本来人間の特性に合わない部分が多い。競争原理が激しく作用しても短時間であれば競争に耐え得るが、その激しい競争が長期になれば精神的、肉体的に疲れてしまい体調まで壊してしまう。近年、日本人に精神病が増加しているのもそのためであろう。しかし、現在の社会情勢の中で、原理的には社会主義的な日本的経営の体質のままで生き残ることが難しくなってきた。今日のように競争原理が強く作用する時代に、企業としての生き残るための原理的手法としては、社会主義的経営体質から市場経済型経営体質への切り替える必要性が出てきた。

2.日本的経営の推奨者と人間の特性
 人間の特性は前述したように、長時間激しい競争環境にさらされると、よほどの精神力が強い人間でない限り生き残れない。つまり一般的人間であれば精神的、肉体的に脱落してしまうものである。これが人間の通常の姿であり特性である。そこで日本的経営の推奨者は、長い目で見て日本的経営の方が優れていると主張する。この意見には異論がないし当然である。しかし、この仕組の基本的なベースには社会主義的思想があり、基本的に市場経済の仕組みには合わない部分が多すぎる。確かに日本的経営のまま継続している成功企業の事例があり、経営が安定している企業も存在するが、近年は成功事例の企業はごく少数であり、例外的なケースと見るべきである。終身雇用制を基本に年功型の人事体制は、働く者にとって安心して働ける職場であって、将来の収入見通しも可能で生活も安定する。しかし、このような雇用環境を続けてきた日本のビジネス界が、何故、今になって低迷し混乱しているのであろうか。

3.日本的経営の継続を可能にしている企業
 近年までは日本的経営の体質ですべての企業が成功していた。今では日本的経営の継続によって成功している企業が少なくなり、市場経済型の経営体質に切り替えて生き残っている企業に二分化してきた。日本的経営を継続して成功している企業には共通点がある。それは抜群の技術力がある点であり、多くのノウハウや特許等の知的財産を異常とも思えるほどの蓄積があり、この知的財産によって抜群の収益力を確保している。そのため企業の経営体質が社会主義的集団であっても生き残れる状況にあり、技術力によって経営が安定し、更に攻めの経営を可能にしている。これによってトップからすべての従業員まで満足できる収入が確保されている。これは日本的経営の手本であって、集団で競争相手に立ち向かう構図が有効に機能しているのである。しかし、市場経済化の時代は、個々人にも競争原理が作用する時代であり、市場経済化の激しい競争原理は、集団の内部から競争原理の作用で崩壊の危機が迫っている点を注意すべきである。旧来型の集団主義に抵抗する世代異質(格差とは違う)の人材が出現してきた。

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