新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 11/27(日) 20:45:03
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1.建設業界の日本的経営の情況
建設業界に日本的経営の残骸が大きく残った理由は、生産現場が特定され、その場でなければ生産できない産業のため、他産業のように地球規模で日本企業と外国企業が直接、世界市場で争うことがない業界であり、従来から続いていた古いタイプの日本的経営を改革する機会を失ってしまった。そのため今日まで古い日本的経営の残骸が残ってしまった。この点が他産業に比較して経営に対する新しい思想や手法の導入が遅れ、他産業のように地球規模で常識化した公平公正の中で、地球規模の激しい競争する環境とは大きく違っている。今日の地球規模のエリアレス化の現象によって、他産業では、地球規模の影響を受けることは日常化しており、従来型の古い日本的経営の残骸が消えてしまったのである。外見的に日本的経営を持続しているように見える企業もあるが、よく調べてみると新しい経営思想や経営手法を取り込みながら、日本的経営の良さを生かしている企業がある。しかし、建設業界で持続している日本的経営の実態は、高度成長期に確立された古いタイプのものであり、過去型の日本的経営のままで今日まで続いている。
2.建設業界の社会的環境が変わらない理由
建設業界は規制の多い業界である。この点においても日本的経営の残骸が持続する要因となっている。建設業界は受注産業であるため、完成品が生産される前に販売活動をする業界である。そのため、施主である発注者は生産物がない状態で買物しなければならないため、価格と品質については常に不安な状態に置かれる。更に、契約と同時に3割から4割の代金の前払制度が慣例化されており、施主にとってはこんな不安なことはないのである。そこで建設業法では、工事経歴書や決算書を公開して生産物の品質の確認をできるようになっており、財務内容についても公開し、信用の程度を確認できるようになっている。更に公共工事については受注する条件として、同程度の施工経験の技術者が担当することが義務付けられている。そのため、常に多くの技術者を抱えていなければならない状態にあり、日本的経営の特色である固定費の過大化が起きてしまうのである。この情況は請負業の宿命であるが、この環境を覚悟の上で新しい経営環境を整えなければならない。
3.建設業界で日本的経営の残骸が消えない理由
日本的経営の残骸が残る理由は、上述の他にも沢山ある。受注産業である建設業は「受注なくして経営なし」という言い分があり、受注に対しては大きな関心をもっている。これは当然のことであるが、この点の神経の使い方が他産業に比べ異常なほど高く、内部の経営管理の関心が異常に低いのが建設業界の特色である。そのため、日本的経営のような内部問題には関心が薄く、他産業に比べ経営近代化が大きく遅れる要因となっている。これからは建設業界といえども経営の持続は益々厳しく難しい環境であり、早急に対処しなければならない。近年ようやく、企業内の経営改善に関心が高まっており、建設市場の環境に合致するような再構築する機運が出てきた。その意味で建設業界もこれから本格的な能力主義の導入や市場経済型の経営手法の導入が進むものと思われる。
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