新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 2/19(日) 13:57:50
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1.知的財産の生成期の二つの流れ
知的財産は、無形のものであるから財産化すること自体難しい側面がある。したがって、企業は意識的に無形の財産とは何かという視点や、知的財産を構築する積極的意識が重要である。例えば「効率化システム」という行為を知的財産化する場合に、上司が部下に対して効率を上げなさいと命令を発しても、必ずしも効率が上がるものではない。効率化を上げる手法として二つの流れがある。一つは、作業担当者の精神に訴える方法で、競争相手に対して「頑張ろう、エイ、エイ、オー」と気合を入れる手法で、精神訓話的で従来からの日本的経営では主流となっていた。これは日本人の労働観とも馴染み有効に作用してきたし、今後も日本人の労働価値観かたみても重要なポイントになるであろう。これに対して二つ目は、精神論からスタートするものではなく、作業を標準化してマニュアル化し、そのマニュアルによって一定水準の作業を進める手法である。欧米で開発されたマニュアル文化であり、効率化という知的財産が具体的に認知された例である。
2.知的財産の価値は利用価値で決まる
無形の財産が価値として認められる条件は、その利用価値にある。本来無形であるから外見的に財産価値が見えるものではない。しかし、その無形の知的財産に価値があるとすれば、利用することによって具体的に効率化が上がり、その効果を実感できるものでなければならない。ISOが知的財産の地位を確保できない理由や、多くの失敗例がある理由は、ISOが典型的な無形の知的財産であるという認識で、一定水準の品質確保のためにリアルに利用価値がなければならない。しかし実態はリアルに品質管理上利用されない場合が多く、むしろ現場で軽視され利用価値が認められないものが多い。そのため継続審査の証拠書類の作成が目的となっている。現場で利用価値がないシステムは知的財産とは言えないものである。知的財産とは、現場ではなくてはならない無形の価値を持ったシステムとしての財産であり、現場の支援システムとしての必需品の位置付けでなければならない。
3.知的財産の高度利用法と人事組織
無形財産であるシステムを構築する場合の注意事項として、システムが全社社員に合意されることが重要である。その成功のためには幾つかの条件がある。その中で最も大きな影響を与える条件としては、情報の共有化問題がある。なぜ、情報の共有化が問題になるかと言えば、ピラミット型人事組織の場合は、上司から縦情報として直接与えられるが、情報共有化の場合は、上司からの命令や指示がない。担当者が自分で積極的に必要な情報を取りに行かなければならない。じかも自ら多くの情報から選択し実行する決断が必要となるのである。情報共有化が進めば、従来型の人事組織の縦情報の形態が崩れることを注意しなければならない。社内で公開された情報は、自己責任で入手し分析し判断できなければならない。そのため公開される社内情報は、全社員の合意、作業の標準化、情報の透明性が重要なポイントとなるのである。
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