新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 06/7/16(日) 23:29:39
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1.計り知れない貨幣の恩恵
異質な物品の評価について、共通モノサシとしての貨幣評価の制度は、経済拡大時代を側面から支える道具として、貨幣が経済拡大に大きく貢献していることは前にも述べた。もし貨幣の発見がなければ物々交換が難しいだけではなく、近代経営のモノサシがなければ帳簿も書くことができない。帳簿に金額(貨幣)による記録がなければ、計数管理ができないのであり、近代経営しても発展することができなかったはずである。人類は、貨幣を発見して以来、今日まで計り知れないほどの大きな貨幣の恩恵を受けてきた。貨幣制度から受けた恩恵の大きさから見れば微々たるものであるが、貨幣制度にも弊害とも言うべき貨幣の副作用があるのである。これが貨幣の利便性の裏にある落とし穴となっている。小型であまりにも価値の高い貨幣は、金の亡者までもつくり上げているが、このような個人的価値観に関するものはここでは除外し、経済価値のモノサシである道具としての貨幣についての機能を検討したい。
2.安易に価値評価ができるモノサシ
貨幣評価は、冷酷で恐ろしいほど厳格に金額で表示することができる。例えば、1個100円のりんごと、1冊100円のノートが同じ価値であると表現できるように。貨幣という金額表示ができるからこそ、りんご1個とノート1冊が同じ価値であると表現できるのである。これほどまでに安易に正確な価値表現する道具は他にないのである。これほどまでに利便性の高いモノサシとしての道具であるからこそ、現代の市場経済の発展にも大きく貢献してきたのである。
3.貨幣モノサシが狂う恐ろしさ
モノサシが狂う恐ろしさとは、インフレやデフレ現象によって、貨幣というモノサシが狂う現象を言うのである。インフレ等の現象まで行かない軽微なものであっても、数十年単位で見る場合には、モノサシが狂いだして大きな影響を受けることがある。例えば、昭和の中期に設立したA社が、設立時に購入した土地が100万円であったとすれば、現在の財務諸表にも設立時の購入価額100万円で計上されている。これに対してB社は、近年設立した企業で、購入した土地が1億円であれば、財務諸表にも1億円と計上されている。A社の土地100万円とB社の土地1億円とを比較すれば、B社の方が100倍の価値のある土地を所有しているように見えてしまう。これを実質的価値である時価で比較であれば、A社の土地が現在の時価評価で100億円であるとすれば、A社の方が100倍の価値のある土地を所有しているのである。このようにインフレ等による貨幣評価のモノサシが狂うと、財務諸表も十分に機能することができないのである。
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