新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 06/7/23(日) 18:19:16
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1.信用力がビジネスの基盤となる信用経済時代
資本が不足していても信用を担保にして財貨を借り、ビジネスの拡大を計ることができるのが信用経済時代である。貨幣経済時代は、貨幣の所有量が基盤となるため、資本として蓄積することが必要である。そのため貨幣の量がビジネスの基盤を左右することになる。これに対して信用経済時代になると、貨幣の所有量がビジネスの規模を決めるのではなく、信用の量がビジネスの基盤となるのである。この時代になるとメーカーから問屋、小売、客に至るすべての取引が、信用取引の形態となるのである。これを掛取引といって、物の引渡しが先行し代金の支払いは後日となる。つまり物品代金を借金するという形態となるのである。この当時は、小売の段階でも「通帳」という記録簿を店から発行してもらい。購入商品を通帳に記録してもらい購入する制度があった。この制度の特色は、商品代金の記録簿を客に持たせる点で、販売店には特に記録をしない制度であり、これほどまでに客を信用している証拠でもある。
2.信用経済時代の落とし穴
信用取引は、金がなくても買い物ができるのであるから、信用経済時代に入り経済規模は一挙に拡大したのである。小売業者はメーカーや問屋から商品を信用により掛買いし、それを客に売って儲けることができる。極端な例で言うならば、資本金ゼロであってもビジネスが可能となるのである。そのため、資本の量に左右されずにビジネスが可能となのであり、後日、客から回収してからメーカーや問屋に掛代金を支払えば、自分の利益部分が貨幣の増加残となって現れる。このように掛取引による借金の魅力は、麻薬のように作用する側面がある。麻薬は上手に使えば薬になるが、下手に使うと麻薬患者になり、やがては廃人となってしまうのである。つまり上手に借金を利用すれば、ビジネス規模の拡大によって大きな利益を獲得することができるが、失敗すれば借金とうい麻薬の返済ができない状態になり廃人化するのである。人類が借金という麻薬を体験するまでは、地球上に倒産という概念がなかったのである。
3.取引の時間差管理が必要となる
信用経済時代になると麻薬である借金は上手に管理することが必要である。交換経済時代の物々交換では、物と物の同時交換であるから貸借関係にはならない。貨幣経済時代においても、貨幣と物との同時交換であるから借金等の貸借関係は発生しない。これに対して信用経済時代になると、物の取引が先行し貨幣の受け渡しが後日になるため、物と貨幣の交換に時差が発生する。この時間差が麻薬の効果を発揮するのである。そのため信用経済時代になると、交換の時差管理が重要になるのであり、これを資金管理と呼んでいる。資金管理が適切であれば、資本の額を超えてビジネスの拡大ができるため、近代経営にとって益々資金管理が重要となっている。黒字倒産は利益が上がっていながら、資金の時間差調整が失敗したケースである。資金の時間差管理が適切であれば、一時的には赤字不倒産の状態で乗り切ることができるのである。
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