<182>市場経済の原理と古いビジネス仁義に揺らぎ
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/9/3(日) 12:56:37  返信も含め全削除

1.グローバル化社会に入り古いビジネス仁義が揺れている
 本来の市場経済の仕組みは、原理的にはドライで冷酷な仕組みである。しかし日本の伝統的な市場経済の仕組みは、小エリア内で通用する情緒的ビジネス文化でありドライなものではない。儒教精神の影響を強く受けた日本文化をベースに、単一化した日本民族が独特のビジネス文化を作り上げた。その特色は集団主義をベースにしたビジネス仁義の文化である。この日本の独特のビジネス文化が近年大きく揺れだしてきた。これはグローバル化社会の影響を受けている現象である。人類が地球規模で大量に交流する社会は、地球規模で多民族化することを意味しており、地球規模の一体化の現象で必然的に多民族化社会になったのである。そのため良し悪しは別にして国や民族、地域別に出来上がった独自のビジネス文化が維持できず揺れだした。

2.ドライな市場原理に反発する古いビジネス仁義
 近年、日本の経済界には過去にはない新しいドライなビジネス現象が起き始めた。従来なかったドライな企業買収や企業合併等、中でもTOB(公開買付)は、透明性の高いドライなビジネス現象である。しかし日本の伝統的な仁義を重視するビジネス文化に馴染まないようで、王子製紙と北越製紙の公開買付や、ライブドア、楽天、紳士服のAOKIホールディングス等の経済行為は、行き過ぎの部分は別にしても企業家にとっては敵対的買収として日本人の情緒的精神文化(仁義の文化)には馴染まない。従業員や労働組合も同様に凄まじい反対運動が起きた。俺たち社員を会社の部品として一緒に売却する気か。という心境になるようで、人間としての仁義に反する行為であるとして反対する。このような仁義の世界観は諸外国とは大きく違い、未だにドライなビジネスとして進まないのが日本の現状である。

3.近年、日本のビジネス仁義に揺らぎが
 長く続いた日本の伝統的な仁義のビジネス文化に、王子製紙と北越製紙の公開買付等の新しい現象が起きていること自体が、これから始まるドライで本格的な市場経済の兆しであることは間違いない。何故ならグローバル化した世界巨大市場において日本の古い仁義のビジネス観が通用するはずがない。冷酷でドライなビジネス文化の良し悪しや好き嫌いは別にして、多民族で構成されている世界巨大市場のビジネス文化は、日本の仁義の文化で動いているわけではない。やがて身近な問題として日常化するドライなビジネス文化を学習する必要がある。

4.それでも進むドライな市場経済の原理
 地球規模の視点で市場経済の仕組みを考えなければならない時代である。グローバル化した世界市場での戦いをドライに考えれば、外国の強敵とも合併や買収を進める必要性がある。欧米の合併や買収時における従業員の心境は、単なる新しいボスに代わるだけで、市場で勝つためには新しいボスの経営能力が重要であり、自分の収入に関することでドライに反応する。日本人が持っている情緒的な高度な精神文化は良い面もあるが、反面、間違った思い込みや先入観、好き嫌いの偏見の部分も多く誤解をまねいている。近年始まった新しい地球規模のビジネス文化に対応できるかが問題で、国内だけで通用するビジネス文化の時代は終わったのである。

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