新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 06/10/22(日) 22:48:21
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1.集団化する人間社会
人間は孤立のままでは生きられないため各種の集団が発生する。原始時代には自然の脅威から身を守るためにも集団化する必要があり、当時の自然環境自体が単独では生きられない環境であったから、集団化して身を守るしか方法がなかった。そのため集団化は必然的に起きたのである。集団化の現象は人間にとって本能的行動であったのである。この時代の社会現象を集団主義社会といい、社会全体の仕組みが集団行為を前提として構築されていた。そのため何事の行動を起こすにも集団化が必要であった。ビジネスについても業界別に護送船団方式という集団体制となっていたし、業界別に何々協会とか何々組合という業界別の集団化が出来上がり、各集団には集団を統制する規範が必要であったし、そのルールを破ると村八分の制裁を受ける仕組みになっていた。その中で勢力を増すためにも集団手法が利用され、同窓の絆を頼りに出来上がる学閥を利用する手法や、出身地の絆を利用する県人会等、集団主義の手法が随所に用いられていた。
2.集団主義者と超個人主義者の特色
近年は、一人っ子育ちの孤立型人間が増えてきたため、社会現象として超個人主義化が進んできた。超個人主義者群は、集団主義者群の規範で縛られることを嫌い、個々の行動を重視する人種群である。この人種の良し悪しは別にして、集団主義者の規範と超個人主義者の規範が大きく相違する。この関係は水と油の関係であり融合化することはあり得ない。「融合とは、二つ(以上の)組織・成分が一緒になってよく交じり、全く元の組織・成分の跡をとどめていない状態になること。」(新明解国語辞典)と定義すれば、集団主義者と超個人主義者は融合化することはあり得なく、ミックス化しているだけである。集団主義者の人間関係は情緒的であり接触型の特色を持っている。したがって人脈重視の集団化に非常に馴染むのである。これに対して超個人主義者は、ドライで情報ネットワーク型による集団化の特色を持っている。携帯電話、メール等による非接触型の集団化の特色を持っている。
3.集団主義社会を崩壊させた要因
近年の情報化社会は、良質な情報を個人レベルで容易に入手することができる社会となった。過去の非情報化社会では、協会や組合等の業界集団でなければ良質な情報の入手が困難であった。当時の集団主義者により結成された業界別の集団は、良質な情報を収集することも重要であったが、構成員の共生思想による棲み分け論も最重要課題であった。これは集団主義者による結束力の強さを表している。しかし近年になって共生論や棲み分け論が利かない状況になってきた。それは集団内部の厳格な公平化が難しく、不公平感まで情報として流れ出すことや、超個人主義者が旧集団主義者のボスの指揮下に入ることを拒むことにも起因している。
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